なぜ人はセックスの前にじゃれるのか。というかケイとサイはなぜそうするのか。ついでに先輩の興味はなぜそこにあるのか
#2025/08/21
登場
サイ
ケイ
「なぜ人はセックスの前にじゃれるのか。私が文化人類学を専攻していたらこういうテーマで研究をしていたに違いない」
「先輩も同じこと言ってたよね」
「そう!先輩からの影響を受けたという筋は否めないですね。セックスが恥ずかしい行為だから、その照れ隠しということもあるでしょう。でもさ、それゆえの愛しさがあるよね」
「私、それだけで満足しちゃうよ」
「私もだよ。お互いに愛し合うだけで満足するタイプなのに、なぜセックスしたがるのだろう。愛を確かめ合う行為にランクをつけるなら…いや、やっぱりセックスが一番上だな。いやでも、キスの方が上かもしれない。私がイギリスのお姫様だったら、『キスがダメならセックスをすればいいじゃない』なんて言っちゃったりして。どう思う?」
「何が『どう』だ」
「あはは。ケイちゃんを困らせたいんですよね」
「私もだよ。サイに困らされたい」
「社会性を持つ動物、今回はとりわけ霊長類の話をしますけど、これらの動物は生殖以外の目的でセックスをするわけなのですね。自慰もしてみたり」
「ボノボだっけ?サイがよく話してるやつ」
「そう!まあ私というより先輩がよく喋ってるんですけどね。シンプルな帰結だけど、ボノボはやっぱり、恋人と愛し合うことを楽しんでいるんじゃないかな。私たちは言語によって愛を解釈しようと試みてるわけですけど、ケイちゃんと裸で抱き合って、胸が温かくなる感覚は、説明しようとするだけナンセンスですよね」
「じゃあ、話終わるじゃん」