生成AIを利用したインテリアデザイン支援
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人の知的活動、特に設計問題に取り組む際に、生成AIがどう役立つか、影響を与えるかを理解することが本研究の課題です。研究対象としてインテリアデザインを選び、その中でも多角的な専門知識と経験を使いながらの試行錯誤を必要とする素材選びの過程に焦点を当てて支援システムの実装と実験評価を行いました。
提案システムは、3次元仮想空間内に、例えば中庭やホテルの一室の3次元モデルが用意され、そこの床や壁、調度品の素材を、その美しさ、耐久性、コストなどを考慮しながら選ぶ作業を行うことができます。その際、生成AI、具体的にはChatGPTとDALLE-2という対話AIと画像生成AIをシステムに埋め込み、ユーザが必要としたときに相談相手として利用することができます。
設計課題における生成AIの効果を理解するために3つの実験評価を行いました。一つ目は、システムの基本的効果を知るために、単なる情報検索機能の提供に対して対話型のAI機能を提供することが作品の質やユーザビリティにどのような影響を与えるかを調べました。その結果、AI支援のあるユーザの方が作品の出来が良く、そのことは第三者の専門家の評価で裏付けられました。また、AI支援がある方が検索や探索が容易で試行錯誤への負荷が低いことが定量的およびインタビューで確認されました。
2つ目の実験では、インテリアデザインの専門家と大学生を対象に、比較的自由にシステムを利用してもらい、その利用パターンを観察しました。その結果、対話的に文脈に沿って試行錯誤を展開する上で生成AIが有益であることが観察されました。一方で、プロンプト記述の難しさやシステムからの提案の信頼性に対する懸念などが指摘されました。
3つ目の実験では、チャットボット機能に焦点を絞り、インテリアデザインの専門家にシステム利用してもらいながらのインタビューによってその効果を調べました。その結果、提案システムによる情報提示は概ね有効であると評価されるとともに、経験年数の高い専門家の方がシステムによる情報提示の有効性評価に厳しいことが観察されました。
発表論文
Rgee Wharlo Tan Gallega, Arnulfo Azcarraga, and Yasuyuki Sumi: TextureAda: Deep 3D texture transfer for ideation in product design conceptualization, Proceedings of the 25th HCI International Conference (HCII 2023), Lecture Notes in Computer Science, Vol. 14050, pp.493-505, Springer-Verlag, Copenhagen, Denmark, July 23-28, 2023.