魔術的努力
昔、人生相談か何かのコーナーで、恋愛の初期の悩みについて相談をしている人がいた。好きなのに進展しないとかそんな内容で。(細かい記憶が不鮮明すぎて出展が探せなかった。このインターネット時代に) で、回答者は具体的で小さな提案を前半は書いている。どんな人なのか調べましょうとか、接触回数を増やしましょうとかそんなことだったかな? 当たり前すぎて効果も小さそうで、当時の私の記憶にほとんど残らなかった。一撃必殺でも一発必中でもなかったから。まあ、モテの技なんてそんなものなんだけど。(モテたいの技術の悲しい不毛性) で、文章の後半で、それを想定していたかのようにこんな展開が続く。「そんなせせこましい手段ではやる気になりませんか? そんなあなたに向いている方法は魔術です。好きな人の髪の毛を集めたり、自分の血液入りのチョコレートを食べさせたりしましょう」みたいな結びを、どこまでギャグでどこまで捨てゼリフのつもりか分からないけど、書いてあった気がする。 『そういうのでもないんだー!』
という気持ちは当時の自分にもあったけど(恋愛ドラマ的展開が欲しかったのだと思う)、でも結局はそういうことかもしれない。
熱意ややる気だけあって、現実世界に向けた、効果ある方法は、くだらなかったりうすぎたなく思えたりして、取る気になれない。そんな状態になることはありますよね。新型コロナとか。 そこまではいかなくとも、中二病のころなら、「一生分の運の出し入れを自分の意思で決められたらな。後半ちょっとくらいついてなくてもいいから、今この勝負に勝って、勝ち組のステージに上がりたい」とか「だらだら長生きなんかしてもしょうがないじゃん。この主人公の煩悶、分からないな。寿命だの魂だのなんて少々売ったっていいから、こんな願いをかなえるチャンスがあるなら、乗ってみたいよ」と思うことはある。 そういう精神性や精神状態を、「魔術的」と名前付けして指さすことができたら、大人になった自分の葛藤からなら、少し距離を取ることができるかもしれない。