心理戦
心理戦
「…だからこのゲーム 投げる方は相手がかわせない速い球を投げようとするんじゃなく… いかに相手を遅い球さえかわせない状態にするかが重要なんだ」
勝負事のある漫画、それも心理戦や精神力の要素のあるシーンのある物語を好んで読んでいた時期があった。
そんで、意外とそういう「対面時の心構え」みたいなことは、若い時期の“恋愛”だったり、プレゼンだったり、なんかそういうときに応用できたりなんかして、それなりに重要なスキルになってたとも思う。 臆病になっちゃいけない、ある種の興奮状態が必要だけど、同時に焦ってもいけない、とか。
自分にも不安があるときは、相当に有利に進めていても、勝ちを「焦って」一発逆転的な手法をとりたくなってしまうとか。 さてここに、『CIPHER』って少女漫画がある。脇の味わいこそが美しいストーリーなところがあるとはいえ、恋愛がメイン縦軸になっている物語で、つまり漫画としても作者としても、別にバトル界のものではないんだけど、こんな台詞がある。 相手に背中見せて立ち去るときが いちばん怖いな
いつ襲ってくるか わかんないから
恋愛物語ではあるのだが、主人公がちょい喧嘩に巻き込まれたりはする。
そのときに、相手に手出しはせずに、威圧だけして立ち去ったことがある。 ただ、これは実は、相手を叩きのめして、相手が地面に突っ伏している場合ですら、あまり変わらない。
相手を、叩きのめせるほど、力の差があってすら、怖いはず。 相手が本当に気を失っているのか、それともそれは演技で、内心では「クク…、好き放題やってくれたが、後ろを向いてみろ、この隠し持ったナイフでグサリだぜ…!」と企んでいるのかの違いは、視覚では分からないからだ。
過剰防衛なんてものも、そこから発生するかもしれない。
極言すれば、相手と敵対してから安心して立ち去ろうと思ったら、心臓を撃ち抜いてからじゃないと駄目かもしれない。
とかそんなことを、少女漫画のたかだか 1プロットを読んでいたときに、考えたことがある。