バーベル戦略
from 20180915
バーベル戦略
言葉を知ったのは、『反脆弱性』(ナシム・ニコラス・タレブ)。
ただ、私にとっては発想の根っこが別の本にもつながっている。それが『仕事は楽しいかね』(デイル・ドーデン)
もちろん、『仕事は楽しいかね』の方では、そこまで分かりやすく戦略(ポートフォリオ的な)を示してはいないけど、「不可知の未来に対してチャレンジする姿勢を持ち続けるとはどういうことか?」
という考え方のエッセンスからは、最終的にそこにいきつく考え方があると思う。
未来にはどんなリスク計算外の事態が起こるかわからない。何が当たるかもわからない。
できるのはサイコロを転がすことだけ。
そして、サイコロを転がすのだってただではない(少なくとも時間を投資しないといけない)。
だから、なるべく大化けしそうな大穴の投資先にいくつも投資する。
ロングテールに、より極端に適応する形。
生活や消費の損益分岐点はギリギリまで切り詰め、かわりに大穴の投資をジャブのようにいくつも、未来に向けて撃つ。
というと、大変合理的ではあるんだけど、これは実際にやるのはすごく苦しい。
ひとつには、職場に関係するのスキル開拓のような、そこそこ当たる可能性の高い投資を見限るというのは、何十年間の間、くるかもわからない変革を念頭に描きながら、ずっと貧乏生活に甘んじないといけないということだから。
もうひとつ、生活をぎりぎりまで切り詰めるということは、「iPhoneの新製品は、毎年必ず発売日に買う! 開封の儀! ヒャッホー、使い心地サイコー! みんな、これいいよ!」 的な、なんとなくの消費による楽しさを生活から追い出さなくてはいけないといことだから。
幸福のレシピとして用いるには、かなりバランスが悪い。(生物的な快感を完全に無視して精神の衛生を保てると考えるのは甘い)
ただ、「英語を学んで、PCをはじめとするITガジェットに投資し、キャリアアップを目指しましょう」「いいスーツを着ていることで他の人の見る目が変わりますし、自分自身も自信をもってふるまうことができます」みたいな処世訓が、まったく当たらないで裏切られる可能性は未来には結構あり、しかもそれがまあまあ当たったとしても、社会の他の分野でおきたイノベーションに自分達の仕事を全部持っていかれる可能性も未来にあることを考えると、見ないふりもなかなかできない。
あと、これを守って生活していると、結婚したり子育てに踏み切ったりが大変そう。ある程度それらが社会的評判と取引が必要なものだから。
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