『好き嫌い』
「どうすればヒット曲を作れるか」
「どんな風に宣伝すれば、この商品を好きになってもらえるか」
がわかる本ではない。
むしろ、1章とか5章とか、「そんなものは(やはり)ない」ということが語られている。
私たちは、馴染めば好感を持つし、仲間内のポジションどりで、それから距離を置きもする。みんなが褒めているものは良さそうな気がしてくるが、評判が落ちるのを怖れて、低俗なものを褒めるのをはばかったり、単純に飽きて目新しいものを歓迎するような気分になったりもするのだ。
つまりやっぱり、法則化も有効利用もできないのだ。
だが、そうじゃないからこそ、この本は面白かった。
2章・3章がメディア論のようになっていて、そこが面白かった。
私がかーそる 3号(読書がテーマ))に書いた原稿とテーマの重なる部分もあり、そこで主張している内容がエビデンスで否定されていたらどうしよう、とヒヤヒヤしながら読んだり(笑) 好きなものについての感想や文章をどのように書くか。 それを世の中に発信すると、世界の方はどう変わりうるのか。 そして、最終6章も意外と示唆は広く、アウトプットする人全般に何かしら刺激を与えると思う。