「正しく恐れる」って言葉があるけど
「正しく恐れる」って言葉がある。ときどき人の口の端に上る言葉であり、2020年のコロナ禍の最中にもよく聞かれた。
この言葉、あまりに標語としてととのっていて、「つまりどういうことか」というのが、考えてみるとすごく分かりにくい。
おそらくは、
科学的に確かな防衛手段と、
必要な範囲の準備はしておいて、
でも、不安からのストレスにはならず、
「やらないよりは防ぐ確率が上がるはず」と、効果が不確かだったり高くなかったりする防衛活動まではせず、
馬鹿騒ぎを「不謹慎だ」と攻撃したり、
出費を手控えて経済の回りを止めたりもせず、
「俺は頑張っているのにあいつはなんだ」と隣人を責めたりもせず、
「あれがウイルスに効く」とか「あいつが危ないんじゃないか」とかデマを流さず、
「国民全員を検査して陽性者を隔離すればすぐおさまるのに」と実現が不可能なことを口にしたりもせず、
「未承認の薬も使えばいい」と思ったり、
外国ではこんなことができているのに」と出羽守になったり、
「私は何もしてないのに、神がこんな理不尽な運命を与えるわけない。何か方法はあるはずでしょう? 政府は何をやっているんだ!」と叫ぶこともなく、
現行の法律と矛盾する超法規的措置をトップが取ることを求めたりもせず、
デクノボートヨバレ
イツモシヅカニワラッテヰル
サウイフモノニ
ワタシハナリタイ
間違えた。
でも、手は面倒くさがらず、必ず洗う。洗い続ける。
まあ、内面部分はともかくとして、「手を洗う」みたいな「『やること』はやるけど、感情は覆われない」ってことになるんじゃないか。
そしてそれは、「科学的にはこれが正しいから、これはやって」と言われたことをただやるということ。忠実に、基本に忠実に。
そしてそれは結果として、行動に現れた部分を他人から見たときには、「言われたことには素直にしたがって、不条理に対しては怒りを抱えない」って態度ににほぼ近似するんじゃないかと思う。
それはもちろん、ある意味で「為政者に都合のいい生き方をすることになるのでは?」と思えることかもしれないけど、同時に、コロナ流行のような災禍に対しては、もっとも手強い、「教科書通りの基本に忠実な行動」でもあるということ。
気をてらった、見た目は派手だけど実は成功率の低い大技ではなく。 もちろん、今回みたいに完全なデータの揃っていない状態だと、専門家の方でも、最初の予想や発言が外れていることも出てくるし、身を守る側からすると「これは心配いりません」と言われても、念のため対応したくなる部分はある。
でもそれは、リソースの無駄遣いになって全体最適から遠ざかる行為になる場合が多い(買い占めなど)。 だから結局、言われた通りのことをやるのが正しかったりする。
それは決して、「権威や権力に言われたことを鵜呑みにする、従順で無知なつまらない人間」なのではない。
ikkiTime 2020/04/25 15:06
「正しく恐れる」って言葉があるけど、あれってつまり「やることはやるけど、感情は覆われない」ってことでしょう? それって結果として、外面的には、「言われたことには素直にしたがって、不条理に対しては怒りを抱えない」って心境にほぼ近似するんじゃないのかな。 ⇒それはもちろん、ある意味で「為政者に都合のいい生き方をすることになるのでは?」と見えるかもしれないけど、同時に『コロナ流行に対してもっとも手強い、教科書通りの基本に忠実な行動』でもあるということ。