「大切なものは目に見えないんだよ」
「大切なものは目に見えないんだよ」
「大切なものは目に見えないんだよ」
B「そこの構造が隠れないように、言い直せないですかね? A「……、 大切なものって、いろいろあるよね。その中には、『大切なのに目に見えないもの』ってのがあると、僕は思うんだ」 B「なるほど」
B「ところで、『大切なのに目に見えないもの』と『大切だけど目にも見えるもの』というのは、重複がないという意味では良い分け方ですけど、そのぶん、その2つを合わせると、きれいに「すべての大切なもの』になりますよね。ことさらにその軸で2つに分けてみた意図はなんなのでしょうか」
A「目に見える大切なものも、目に見えない大切なものも、どちらも等しく『大切な』ものだとは、僕も思っているよ。ただ、いまの時代はみんなが価値を測ることに躍起になっていて、目に見えない大切なものが不当に見過ごされている気がするんだ。その領域に目を向けてほしい願いを込めていたんだ」
A「それに、目に見えるものは、人の意識にのぼりやすいから、大して大切でもないのに、人を振り回しているものもたくさんある気がするんだ。そういうものを一度糾弾しておきたい気持ちもあった。それは駄目かい?」
B「なるほど、最初の文は、命題としては偽だったわけですね。それは分かりました。 ところで、ただ、その言説を広めてしまうと、今度は『目に見える大切なもの』が不当に糾弾されるおそれもありますし、その2つの大切なものの間に、いらない分断を招く危険もあります。私は好きになれないですね」