創作に関する読書メモ
私は「物語の書き方」というような本をよく読んでいた時期がありますーーというようなことを「かーそる」なんかではちょこちょことを書いているんですが(特に2号の原稿1つにはそのエッセンスが強く乗っています)ーーそれには、ヒッチコックのあれとか、キングのあれとか、クーンツのあれとかもあるのですが、なんだかんだで、もっと小規模なもののほうが、読みやすい分だけ私の深いところに入っていて、ちょいちょい私の考え方として顔を出すものがあります。 そんなものを集めてみましょう。
比喩 で言えば、例えば皆さんの中にニットを着てる人がいます。ニットというのはですね、 袖 の部分はやや複雑になっていますが、あとは一本の 紐 なんですね。
どこかに切れ目を入れてスーッと引っ張っていくとですね、どんどん解けていく。毛糸の玉になってしまいます。つまり、立体物ではないんですね。一本の紐に過ぎないわけです。 ところが、紐を編むということをすると、立体的なベストになったり、セーターになったり、カーディガンになったりします。
つまり、言葉というものは、一つ一つの言葉はただの記号に過ぎないわけですが、これを組み合わせていって織物を織るように一篇の作品を作り上げていくと、ある立体的な構造をもつ。 (位置762/3728) 文学は哲学よりも深いのです。
「言葉では表現できない真理」を、この坊さんは身をもって「表現」しているわけです。
文学には、哲学にない武器がある。「状況設定」や「描写」、そしてさらに言えば「ドラマチックな盛り上がり」といったものです。
ということはですね、ストーリーの面白さなんて、評価の基準にはならないのです。
例えば、いまの女子学生は、就職が大問題ですね。その問題をどうやって小説化するか、と考えてみましょう。ここに恋愛を 絡めて、男をとるか仕事をとるか、という話にしてもいい。 あるいはさまざまな困難を乗りこえて、いい職場で働き始めた矢先に、故郷の父が病気で倒れ、母も看病疲れでリウマチが悪化して(笑)、娘に帰ってきてほしい、というようなことを言ってくる。
ここに、やさしい男性が現れて相談に乗ってくれる、ということでもいいし、逆に高校時代の親友とか初恋の相手に相談してみると、相談の内容はともかく、相手がすごい鈍感に感じられて、一生こんな 寂れたところで暮らすのかと思ってうんざりする。
というふうにですね、ストーリーはいくらでも作っていけるんですね。
ストーリーというものは、面白くしようと思えばいくらでも変化をつけることができるのですが、
「私小説」の作家は、「私」がどういう人物なのか、あんまり説明しませ 出てくる「私」はいつも同じ人物です。
たとえ三十枚の作品でも、その三十枚に収まりきらない書き手の人生というものが存在しているわけです
>「私小説」でないものを書く人も、「私小説」と同じくらい、作品に収まりきらない世界をちゃんと考えておけばいいんですね。 三十枚の作品なら三十枚分のフィクションを考えるのでなくて、一千枚分くらいの材料やら粗筋やらを考えておく。それで、その一部だけで三十枚の作品を書く。 それぐらいのことをすれば、短篇小説にもリアリティーが出てくるし、「深さ」を予感させることも可能になってくるの
強いていうなら、記号論理学のペン図形に近いだろう。
ここにひとつのアイディア、こっちにはべつのアイディアがある。舞台はどこで、登場人物は、どんな人間なのか? 過去は? 何を欲しているのか? なにをしようとしている? こういった諸々の要素が重なり合う部分をていねいに拾ってゆくんだ。重ならない部分は不要とみなし、惜しみなく捨てて振り返らない。登場人物に関する雑多な情報は、たいていは重ならないから放っておく。説明的なシーンも削ぎ落とされる。事件の前後もカメラの外の話だから、いらない。結果、中心に残ったのがシナリオというわけさ。 いずれにせよ、どんどん前へ前へと進むベクトルが働くのは同じで、一般化していえば、プラスとマイナス、ヒーローと悪人を作れば、エネルギーがどちらかに流れだす。簡単さ、電磁石みたいなもんだ。
要は、自分にとって絶対に手放せない “大事なエレメント” を揃えるってことだろうな。 心得ておくべきは、面白い会話や笑える状況に出会ったら、その場でこまめにメモしておくこと。
小峯 時間の流れに沿って書く?
キャメロン そう、ほんのメモ程度に、だ。
ラフができたら、今度はディテールを煮詰めてゆく。
実際に漫画を描くとき、常に頭に入れておくべきこと、それは、僕が漫画の「基本四大構造」と呼ぶ図式です。 重要な順に挙げていくと、
ということになり
キャラクター漫画の代表『サザエさん』の原作は、およそ半世紀前に描かれています。今読むと、そのままでは感覚的にわからないところもあり、どうしても伝わらない部分が出てきています。キャラクターが中心の漫画は、時代の変化に応じてアップデートしていかないと、生き残るのは難しいのです。
では、時代が変わっても読まれる漫画にするにはどうすればいいか、そこにストーリーの役割があります。アニメの『サザエさん』がなぜ何十年も続いているかと言えば、その時その時で新しく作ったエピソードを加えて、現代風にアップデートし続けているからで、つまり一連のエピソードからなるストーリーによってリニューアルしているのです。