『自由研究55』
『自由研究55』
NHK・Eテレの0655や2355の特番として放映された。ユーフラテス系の番組といっていいだろう。小学生の夏休みの難題、自由研究に焦点を当てて、その背中を押すための教育テレビということだろう。人気があったのか、その後続編もでき、今年(2020)には第3回も作成された。
小中学生にとってみれば、もちろんニーズのあるテーマなのだろうけど、大人になってしまうと、このテーマで何かを教えるのはは難しいと思う。
そもそも「自由」というところに重要な方針の含まれた課題である「自由研究」に対して、やりかたを教えてしまったら、自分で考えて自発的に思いついたことにならないではないか、と。
ただ、切り口は大人にはぼんやりと見えていて、それは「子供の素朴でみずみずしい視点」みたいなものが求められていて、別に科学史や数学世界の地図を塗り替えるような、大研究は別に初めから求められていないということだ。
そうは言っても曖昧模糊としている。
そこで、このテレビは、めちゃくちゃ具体的な例と、かなりブレイクダウンした方針を3つ提示している。
「とにかくはかってみる」「とにかく集めてみる」「とにかく分解してみる」
とにかくはかってみる
100円玉の重さを、キッチンスケールで測ってみる。じゃあ、それ10枚の重さは、先程の重さの10倍の値になるか? と思ってやってみると、ならないけど、これは?
牛乳パックの3辺の長さを測って、その体積(というか容積)を直方体として計算すると、1Lを下回ってしまう。じゃあ、中身が実は1Lより少ないのか……、といって実際に測ってみると、ちゃんと1L。これは?
信号機の、赤と青と黄色の点灯している時間の長さは……
とにかく集めてみる
小分けパックの味付けのりを各メーカーたくさん集めて。1枚ずつ広げてみる。すると、大きさはかなりバラバラである。ただ、その中でも一定のグループがある。それは「8枚切り」のグループと「10枚切り」のグループで、さてでは、それぞれを8枚、10枚並べたときの面積は、等しくあるいは近しくなるか?
郵便ポストの回収時刻を写真にとって集めると、少しずつずれている。それをマッピングすると、回収ルートが見えてくる?
フルーツのシールを集めて、それぞれの輸入元を世界地図に……
とにかく分解してみる
閉めるときにパチっと音のする、お菓子の紙箱。これはどうなっているのか。丁寧に分解して、それを展開図にして別のボール紙で自作してみると、同じように開閉で音がするか?
……、というように。
ほんのちょっとの時間のなかでで、「“考え方”のエッセンスの詰まった“過程”」を見せられることで、頭のザクザクと刺激される。
猛烈にやってみたくなるし、そのまま真似するだけでなく、自分なりの手の付け方をしてみようかという気にもなるし、抽象度の高い法則だけをアドバイスされて投げ出されるわけでもない。
このあたり、すごく巧みで、人間の認知上のトラップを突破しやすいように、うまく導いてくれている。
→アイデア創発の方法(Eテレ『自由研究55』より)
とはいえ、「テレビでは100円玉をはかっていたから、僕は10円玉をはかろう」というのでは、よくないわけで、これを見たからといってすらすらと手は動かないだろう。
すぐさま、実験や分析に入れるほどの材料が手に入る、ってわけにもいかない。
それでも、これがくれる「研究的思考モード」があった上で行動したほうが、ゴールに向かう道を探り当てられる可能性は有意に高くなると思う。
自由研究のまとめかた(段落構成の例)
タグ 子育て、教育、考える、発想術、手を動かす、アジテーション
あと、
「日頃から気になったことをメモしておいて、それを元に、夏休みになったらどれを確かめようか、仮説を立てて実験計画を練るといいよ」なんて世論のアドバイスは、もちろん役に立たない、求められていない。
もう夏休みに入ってしまってから考える、のが世の常で、人間の大部分だ。
from 2020/08/01-2020/08/07