江渡浩一郎
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/8/88/Koichiro_Eto_20160130.jpg/250px-Koichiro_Eto_20160130.jpg
しかし、非常にポジティブに受け止められた時期もありましたが、さまざまな人がパターンランゲージに取り組み、うまくいかなかったりなどいろいろな経緯があって挫折し、一時期建築業界ではパターンランゲージは忘れられた手法となっていた。それが変わったのは、ケント・ベック*4とウォード・カニンガム*5によるパターンランゲージのプログラミングへの応用です。この2人のコンピュータ科学者が状況を変えました。簡単に言うと、パターンランゲージというものをプログラミングの世界で応用することが可能なのではないか、ということでそれを実際に試してみるということを行い、1987年に「オブジェクト指向のためのパターンランゲージの利用<引用者修正>」(Using Pattern Languages for Object-Oriented Programs)という論文を、実際に試した結果として発表しています。1つは、1994年に出版された「ケント・ベックのSmalltalk ベストプラクティス・パターン — シンプル・デザインへの宝石集」(Smalltalk Best Practice Patterns. Prentice Hall)の中で「デザインパターン」という言葉として形になります。オブジェクト指向において、そのデザインパターンという形でプログラミングにおいてよいとされる書き方を再利用していこう、という流れに実を結びます。もう1つは、いま「アジャイルソフトウェア開発」*6と呼ばれているソフトウェア開発手法がありますが、その源流となっているのがこの「エクストリームプログラミング」*7です。実を言うと、この手法もケント・ベックがパターンランゲージをプログラミングの開発手法に応用しようとした結果生まれた開発手法なんですね。 まず、ホール・アース・カタログを知っていた人? はい。読んだことあるという人? はい。ほとんどいないんですよね。実際、ほとんどの人は読んだことがないと思います。ぼくも実を言うとつい最近入手しました。中身は実に多岐にわたっていてですね。たとえば、フラー*13であるとかアレグザンダーであるとかそういった先鋭的な人が紹介されていたり、ヨガや、オーガニックフード、アウトドアグッズ、ブーツやテントなど、さまざまな領域のものがあります。そういうムーブメントの先駆けというか、非常に重要な部分を一番最初に網羅的に準備し、かつその影響下に未だ我々はある。