有機体の哲学
ホワイトヘッド『過程と実在』―生命の躍動的前進を描く「有機体の哲学」 (哲学書概説シリーズ)
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ホワイトヘッドが考える宇宙というのは、すべてが複雑にからまりあっている。ひとつとして、ほかのものとかかわっていないものはない。どちらかとしえば、その〈かかわり〉自体が、この世界の実相なのだ。そして、この〈かかわり〉は、ダイナミックに、あるいは、限りなく細かく動きつづけている。そう考えると、この宇宙は、一刻もとどまることのない関係そのものの流動体ということになるだろう。このあり方こそ、「有機体」なのだ。つまり、普通のいい方をすれば、「生きている」ということである。この世界の存在は、ことごとく「生きている」。普通われわれが、無生物であるとか、無機物とか呼んでいるものも、ホワイトヘッドによれば、ことごとく「生きている」のだ。こういう、あらゆるものが生きいきとしている状態を、ホワイトヘッドは、「有機体」と呼ぶのである。
ホワイトヘッドの哲学 / 中村昇
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