スケルトン感
私にとっての作品の”良さ”
https://www.youtube.com/watch?v=MDXMDAOg-fs
昔流行った内部のパーツの見えるガジェットをスケルトンと呼ぶ。映像制作においても、制作の行程や思想がむき出しに回路のように出る時がある。思想のなかでもユニークなものはアイデアと呼ばれる。アイデアはウェルメイドにおいては既存文脈とどう組み合わせて埋没するかの対象になるが、スケルトン感の追求においては、むしろそのアイデアを直にむき出す事が多い。
また、メイキングを装ったMV等も時々出るようになったが、これはメイキング映像がひとつの表現手法として確立したうえで、そのルックが市民権を得たからなので、ここでは対象ではない(もちろんメイキング自体はまさにスケルトンそのもの)
現状スケルトン感は意図して発生するものではなく、大方ミスだったり技術不足でできるもので、インディーズ感、初心者感とも言い換えられる。
スケルトン感は今はまだ市民権を得ていないものが多いけれど、そのうちひとつの表現手法になると信じている。
制作の行程で発生するスケルトン感
意図せず発生し、レンダリング後に気づくことも多い。その偶然性に人間味を感じて好き。最近はこれらをクリエイティブコーディングで意図的に発生させたりしている。
圧縮アーキテクチャ
レンダリングミス
レンダラを介さないアプリケーション上の表示
素材のフレームレートのずれ、フレーム補間
エフェクトを適用した時に出るジャギーやゴミ残し
シャープを多重にかけた時にできる輪郭線
カーブが閾値を超えた時に出るカクつき
イージング、トーンカーブなど
デフォルトのフォント、中華フォント
拡大率が100%を超えた画像のピクセル
すでに市民権を得ているもの
VHS等のグリッヂ、バウンディングボックス、手ブレ、ボケ、ノイズ、(撮影機器の映り込み(まだ手法というよりも飛び道具扱いな気がする))
ツールによって発生するスケルトン感
ツールを使いたての頃に発生する。私はこれらを無意識にすることはもうできないが、他の初心者の作品を見て接種できる。
図形や動きの偏り
文字サイズ(たとえば、AviutlやAlight motionは編集画面が小さいため、文字が大きくなる傾向がある)
そのツールにしかないエフェクト
思想によって発生するスケルトン感
方向によっては作風になっていたりするし、運が良いとルックとして文脈に乗る。上記2種類に対してこちらはある程度勉強が必要で、一般的には追求されることのない荒野
思想という言葉を使ったけど、まあ大体は「無駄なことをするぐらいなら潔くそうする」とか「アイデアがいいからルックを無視してとにかく実証する」の二択だと思う
ミスマッチなモチーフ
等速直線移動、瞬間移動等
非線形なイーズ
暗転、明転
(これは昨今の密度がクオリティに直結する時代にできた比較的あたらしいもの)
絵柄、筆致
歌詞やシーンなどの表示、切り替えタイミングのずらし
エフェクトの重ね合わせでできるオブジェクト(個々人の自作するグリッヂプリセットなどはまさにそれ)