映像の組み立て方
友達のディスコに貼る用。映像というか、MVの組み方。
1.全体の動きや色合いを、貰った素材やコンテから考える(テーマ決め)
曲を聞いて、流れを考える。
歌詞はなにを歌っているのか、音楽のジャンルにおける主流の動きは何か、前向きか後ろ向きか、著名な類似作品はどう動いているか。
具体的なモチーフを組み合わせて、その選択の必要性を高める。
例1: 布を縫い合わせて重ねていくイメージ。左右にカメラが移動しつつ時々手前に引く。(We Be Union)
例2: 顕微鏡で素粒子から宇宙までズーム倍率を引いていく映像のイメージ。常にカメラを引く。(ハイドレンジア)
動きが決まった段階で、画面構成はほぼ決定する(動きを邪魔するように物を置くことは無いため。例えば横に動くなら横向きのオブジェクトを考えることになる。もちろん動きを邪魔する動きを必要とする時もあるが、それもこの1.の段階で決まる。)
2.曲の展開ごとに静止画で構図や色を決める。(アイデア決め)
コンテというよりもアイデアツリーに近い。画面構成やフォントを考える。
1.で出た全体のイメージから逸脱させない。
モチーフは歌詞7割、曲調2割、メロディ1割。
MIX的に歌詞大きくするんだなとか、ここは印象に残したい訳ではないから密度下げるか、とか。
1枚で3分耐えられる時はそうする。余計なことはしない。
2.5クライアントに見てもらう
テーマの段階でよっぽど面白くてイレギュラーな場合は、その時にも口頭で(興奮しながら)説明するが、基本ここで静止画を送る。
問題なければ次に進む。問題があれば直す。
3.実際に画面を作る。(カット決め)
AEで組んでみる。(最近はここで初めてPCを実際に触る。それまではメモ帳など)
小ネタを作る。
1.で決めたことから逸脱しない。
例1なら「常に画面上下に縫い目モチーフのグラフィックを置いて、レターボックス的誘導にするか」「文字が揺らめくと布的ニュアンスを出せるし、モーションのモチーフも決まるな」とか。
この映像は布を縫っていくのだから大きく回転してはならない(そんなことしたらミシンの中でガタガタになるので)
例2なら「テーマ構成がフラクタルなので、その説明としてフラクタル図形を組み込もう」「歌詞的には等身大だから、どのスケールにおいても等身大のオブジェクト(植物、建物)を置いておこう」とか。
この映像は顕微鏡の画だから色がついていてはならない。
この「してはならない」という要素こそが映像のテーマを決める最も大事な要素。これがないとただただ気持ちのいいだけの映像になる。
もし相反するアイデアを思いついたら、それはやらずに使える時まで取っておく。この貯蓄をセンスというらしい。
オブジェクトや小ネタは、「そこにあると綺麗だから」の他に2つは有る理由が欲しい。
例えば「歌詞に合っているから(ミクロな理由)」と、「テーマの説明補完になるから(マクロな理由)」
テーマは綺麗か?綺麗である以外に歌詞と連動しているのか?歌詞と連動している物の画があると何が嬉しいのか?(それはその構図におかれる意味はあるのか?視点誘導ならそこに誘導することに意味があるのか?)画のある嬉しさ、その構図、視点誘導する線はテーマに即しているか?テーマは綺麗か?
このループが成り立つととてもよい。始める位置はどこでもいい。
4.独立したカットたちを繋いでいく(シーン決め)
基本的にはカットする必要があってカットしているのでうまくくっつくことはない
もし緩やかに繋がるのならそれは2つのカットにする意味がない。アイデアが弱い可能性がある。
本質的にはテーマで決めた方向に常に動き続けるだけで成立するので。
4.5クライアントにみてもらう
この段階でAメロBメロサビあたりまでが完成しているはず。その映像を見てもらう。
この時には既にアイデアまで見てもらっているので、ここでは細かな動きやオブジェクトの可否、歌詞ミスなどのチェックになる。
5.完成。
もう一度歌詞ミスやレンダリングミスがないか見る。私はめちゃくちゃ見落としてしまうので、相手方にも確認をしてもらう(こればかりは練度とかではなく脳の作りの問題なのでどうしようもない…)
修正を待つ。
来た場合1.に相反しない限り基本対応する。相反する場合は理由を聞いてみたりして相談する。
(ただまず相反するようなことはない。万が一相反する場合は最初に2.5でみてもらった段階からすれ違いが起きているので失敗である。まだ仕事を受けられるレベルではないか、よほど相性の悪い場合。)
完成。フォーマットとクレジットを確認する。