標題音楽
標題音楽とは、音楽作品に題名や文章がつけられており、その内容を表現しようとする器楽曲や合奏曲です。楽譜とは別にストーリーが用意されており、聴き手や奏者と共有されるのが特徴です。
標題音楽と対比される言葉に「絶対音楽」があり、これは絵画や文学などの内容と直接結びつかず、音そのものの構成面に集中した純粋器楽を指します。
標題音楽の先駆けは、フランスの作曲家ベルリオーズが1830年に発表した『幻想交響曲』です。この作品には「夢、情熱」「舞踏会」「野原の情景」「刑場への行進」「悪魔の祝日の夜の夢」といった標題がつけられています。
標題音楽は、古典主義音楽時代の形式性に反発したロマン派の作曲家にとって、個人的な世界を表現するのに適した形でした。音楽を言葉で説明することで、作曲者が描こうとした世界をより正確に聴きとってもらえる可能性が拓けたのです。
標題音楽には、歌曲やオペラ、バレエ音楽などは含まれません。