華岡青洲の妻 14章
現代、現実と繋がっている
章の概要
小陸メイン章
p.199 「享和元年、長男が生まれた。青州は雲平と命名した。」
於継との遺言に反して亮平ではなく加恵の子供を世継ぎした。
於継が死んで加恵の立場がかなり上がった
元から低くなかったのかも?
p.199 「子供の顔を見ることのできなかった加恵は...殊更らしく思わなかった。」
於継が死んで対抗心が無くなった
もともと加恵に対抗心はなかったのかも
前章p.184の描写は本質を表してる
=>嫁姑問題は表面的なもの?
p.199 「小弁の時には決して豊かではなかった乳の出が、雲平の時には...」
於継に恨まれながら育った(?)小弁の時と、「待望」の男子として祝われて生まれた雲平の対比
生まれた子の性別による扱いの差(男女)
著者が男の子供をよりよく扱っている、と捉えることも可能
於継がいなくなって晴れ晴れとした気分
p.200 「雲平が二度目の誕生日を迎える頃、召されて藩主の謁見を受け、士分に列して帯刀を許されるという恩恵に俗した」
武士待遇になって加恵の実家である名手本陣と位が近づいた
だからなに?
p.200-201 「多くの門弟や、青州を訪う多くの患者...加恵は十分に知っていた。」
於継と加恵が重ね合わされている
p.202 青州が医者業に飽きた。
今まではあまり触れられてこなかった青州の素顔、感情が触れられる。
加恵の関心が於継から青州に移った
今まであまり青州に関心を持っていなかった
今まであまり自分らの心情をさらけ出して話すことがなかった
p.203/204 乳を牛に突かれた女
青州が医者として成長している
p.204 「乳房を突かれた女が...夢中で祈っていた」
…
p.206-207 「『占いも医者も...よくこのことを思わした。」
於継がいた時にはなかった感情
幸せな時ならではの感情、幸せぼけ
「夫の愛」なんて言葉は今まで出てこなかった
p.207 加恵と小陸の会話
於継がいた時には描写されなかった仲良い関係
p.210 胎動
死んでいった者たちと生まれてきた者の対比
p.210-211 「医術というものは...女の自害の法やないか」
現実
p.214-215 小陸「私は嫁に行かなんだことを何よりの幸福やったよ思うて死んで行くんやしてよし。」
小陸は全部知っていた
米次郎とか、弟子たちが知らないことを知っている
男女の感性の違い?
男女の...
美しいと思われていた於継のそうでない部分も知っていた?
p.215 「何をまあ、小陸さん、...娘のように思うて頂いて」
於継との確執を忘れたい
今の自分の正当化
p.216 「加恵は慌てていた...べきであった。」
忘れたい過去
憧れていた於継と実際の於継の差を認めたくなかった
死人の美化?
p.216 加恵の於継論
死人の美化
嫁ぐ前の於継論に戻った?
地の文「(加恵は)本当にそうだと自分でも思っていて、後ろめたい思いは少しもなかった」
これは信用できる語り手?
小陸「(於継が悪くなかったって言っているのは、)姉さんが勝ったから」
何をしたことによって勝った?
盲目になったこと?
p.217-218 小陸による男女の差に関する考察
青州が小陸に施術しないことに対して加恵とは違った思想を持っている(加恵は自分が血縁者とは違い他人だと思われていることに対して不満を抱いていたが、小陸は血縁者であるが故の不満を抱いている)
加恵と於継の争いは、青州の為に無駄に消費されただけだと思っている
「それでこれからも(この男女の関係は)永代続くのですやろのし」
bluemountain.icon永代続くということを、昭和の人が江戸時代の人に言わせる意味とは
「どこの家の女同士の争いも、結句は男一人を養う役に立っているのとは違うんかしらん」
Q. ここの小陸の発言は正しいのか
正しい派
正しくない派
青洲は争いに気づいていたのか問題
p.218の最後、?
p.220 「それは柿色の麻の羽織である。」
柿色の象徴
遊郭の高級料亭
酒場の奉公人
山伏
非人・囚人・異型・差別・卑賤
非日常的
聖なる色
現代でいうところの白衣
p.220 「後に五三の桐の家紋を弟に譲って...に違いない」
加恵の献身・貢献
於継と重ね合わされる
p.220-222 華岡青洲の偉業
作者の意図?
急に時間が飛んで現代の話が出る #作者の介入
bluemountain.icon現代であるだけでなく、現実である
ノンフィクション感
akaschool.icon 最後の方だから、リアリズムが壊れるって感じはしない
p.222 「だが青州の妹は、その輝かしい成功を...見通せなかっただろう」
歴史には残らなかった
作者の本当の意図?
p.222 「乳岩手術の大成功に家の中が沸きたっている中で、ひとり加恵だけが小陸の霊前に香をたき合掌していた。」
加恵以外は小陸の苦労を知らない・認識していない
p.223 青州の喜びの発言に温く返しながらも冷たい視線を送る加恵
小陸への罪責感
「口をついて出た言葉(お母さんも喜んでるだろう)もおりくに非難されているようで後ろめたかった」
p216で後ろめたさは無かったって言っているのと対比
考えが変化している
「姐さんが勝ったから」って言われたのが変化の原因だろうと考えられる
青州の子供らしさ