沈黙の春 AK
レイチェルカーソン
科学者・自然学者
Audience
公衆の人々
科学的な論文ではなく、科学的事実を踏まえたうえで専門知識がなくても伝わるようになっている。
論文 <=> 文学(詩的・感情的に訴える)
Ultimate Purpose
DDTなどの怖ろしさを公衆につたえ、使用を制限してほしいと訴えてる
自然界への影響を調査した上で使い方を考えたり、規制したりすべきだ
ー本分抜粋ー
全体的に文が短い
人類の歴史が始まって以来、いままでだれも経験しなかった宿命を、私たちは背負わされている。
いまや、人間という人間は、母の胎内に宿ったときから年老いて死ぬまで、おそろしい化学薬品の呪縛のもとにある。だが、考えてみれば、化学薬品が使われだしてから、まだ二十年にもならない。それなのに、合成殺虫剤は生物界、無生物界をとわず、いたるところに進出し、いまでは化学薬品の汚染をこうむらないもの、ところなどほとんどない。大きな川という川、そればかりか地底を流れる地下水もまた汚染している。十二年も前に使用した化学薬品は、土壌にしみ込んだまま、いまなおその残滓が見つかる。魚、鳥、爬虫類、家畜、野生動物のからだも、同じだ。だから、何か動物実験を使用としても、化学薬品の汚染をまぬかれた動物をさがし出すことはむずかしい。人里離れた山奥の湖水の魚、地中に潜り込んでいるミミズ、また鳥の卵ーそしてほかならぬ人間のからだのなかに化学薬品が蓄積されている。母乳の中に、そしておそらく、まだ生れおちない子どもの組織の中に、化学薬品が入っている。
漸層法
なぜまた、こんなことになったのか。
rhetorical question
読者にc問題の原因について考えさせる
合成化学薬品工場が、急速に発達してきたためである。それは、第二次世界大戦のおとし子だった。化学戦の研究を進めているうちに、殺虫力のあるさまざまな化学薬品が発明された。でも、偶然わかったわけではなかった。もともと人間を殺そうと、いろいろな昆虫が広く実験台に使われたためだった。
感傷的な語
こうして生れたのが、合成殺虫剤で、戦争は終ったが、跡をたつことなく、新しい薬品がつくり出されてきた。戦前の単純な無機系の殺虫剤とは、質の違う薬品ばかりだった。分子をうまく操作し、原子を置換し、原子の順列を変えてしまう、人為的な過程をへてつくられる。それに反して、無機系のものは自然に発生する無機物や、植物からつくる。たとえば、砒素、銅、鉛、マンガン、亜鉛の化合物とか、そのほかの無機物、また菊の花を乾燥させてピレトリンをとったり、タバコに近い草から硫化ニコチンを、また東インド諸島のマメ科の植物からロテノンをとったりした。
新しく登場した合成殺虫剤がこうした無機物と違うのは、生物学的にきわめて大きな影響を及ぼす点にある。ただ毒があるというのではなく、からだのうちでも直接に生命と関係のある部分に入っていき、おそろしい、ときには死に至る変化を巻き起こすのである。たとえば、毒からからだを守る機能をはたしている酵素を破壊する。肉体のエネルギー源である酸化の動きを阻害する。そのほかいろいろな器官をいためつけ、きずついた細胞はゆっくりと変質し、もう二度ともとへもどらず、やがて悪性の腫瘍にむしばまれていく。
おそろしいー>ときには死に至る
酵素ー>酸化ー>器官ー>悪性腫瘍
『漸層法ぜんそうほう』
言葉・句・節が順番に重要性を増すよう配列された修辞技法。同じ事柄に対して、徐々に表現を強めていく。
※狭い範囲から広い範囲へと視界を広げたり、弱い表現から強い表現へと段階的に描写を変えていくことで、出来事を強調します。
『類義累積』
意味の似た言葉を並列して繰り返すことで強調しつつ、多面的に表現する。
3. 死の霊薬
カーソンは、第二次世界大戦のおとし子としてさまざまな化学薬品が開発されてから、毎年毎年、新しい化学薬品が作り出され、「いまや、人間という人間は、母の胎内に宿ったときから年老いて死ぬまで、おそろしい化学薬品の呪縛のもとにある」といいます。それでは、いったいどのような化学薬品が使用されているのでしょうか。この「死の霊薬」の章は、このような「殺虫剤の《紳士録》」にあたるものです。カーソンはいろいろ数ある殺虫剤を、DDTに代表される《有機塩素形殺虫剤》とマラソン、パラチオンなどの《有機リン酸系殺虫剤》に分けて主要なものについてその特性などを説明しています。この章でとりあげられた殺虫剤や除草剤だけとってみても実に多数にのぼります。
あとの章との関連からいっても、ぜひここで注意し理解をしておく必要があるのが、「食物連鎖」、あるいは「生物濃縮」ということです。DDTの解説ででてくる例をみると、DDTがまかれたムラサキゴヤシの粉を鶏にやると卵のなかに残留する、DDTの残留するまぐさを牛にあたえると、その乳からDDTが検出される、さらにそのミルクでバターをつくると残留性はさらに高まる、このような循環のなかでごく少量だったDDTが次々と蓄積していく、このような現象が自然のなかにはあるのです。とくに有機リン酸系農薬などは残留度が高いだけでなく生物体内で濃縮され蓄積するのです。しかも現実には、ひとつだけの化学薬品だけでなく、いろいろな化学薬品が相互に作用することもあるわけで、その結果、どのようなことになるのか、私たちは何も知らないということはすまされないのです。
安倍首相COPスピーチ(気候変動枠組条約締約国会議)
COP21は京都議定書の20年度以降版
目的は目標設定
私たちの行動の責任がどこまであるのか
全人類に共通しているー> synthetic personalization