第9回:蔵書の評価
到達目標
1.蔵書の評価にはどのような方法があるか
2.どのような資料が不要な資料とみなすことができるか
蔵書評価
長所・短所の把握 → 収集・除架への活用
蔵書評価の目的(小泉「蔵書評価法」より)
図書館の理念や目標に適合しているのか
利用者の要求やニーズに適合しているのか
蔵書購入のための経費は図書の利用と照らし合わせたときに効率的に使われているのか
評価のプロセス
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(高山,平野編『図書館情報資源概論』より)
蔵書を中心にした評価法
コレクションの統計
図書館の資料収集活動をマクロに評価
蔵書密度 = 蔵書冊数 / 奉仕対象人口
「住民一人あたり3冊」(IFLA『公共図書館のガイドライン』)
蔵書新鮮度 = 年間増加冊数 / 蔵書冊数
蔵書成長率 = (その時点での蔵書冊数 - 前の時点での蔵書冊数) / 前の時点での蔵書冊
チェックリスト法
リストに付きあわせて不十分な資料を見出す方法
全国書誌や選定書誌,主題書誌,総合目録や他館の所蔵目録,引用文献リストなど
コンスペクタス
蔵書を主題に分割し,収集の程度を評価
専門家による評価(直接観察法)
主題の専門家,コンサルタント,教職員などによる評価
利用を中心にした評価法
貸出データ
貸出密度 = 貸出延べ冊数 / 奉仕対象人口
分母を登録者とした場合は,実質貸出密度
蔵書回転率 = 貸出延べ冊数 / 蔵書冊数
分野ごとに算出し,蔵書のバランスを評価
引用データ
学術雑誌の評価
被引用(引用されること) ≒ 学術的価値の高さ
インパクトファクター(IF)
ある雑誌が引用された回数の合計をその雑誌の掲載論文数で割った値=「雑誌別の1論文あたりの平均引用回数」(辞典)
Journal Citation Reports: 雑誌の順位付きリストなどを閲覧できるツール
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利用可能性(availability)の調査
ある資料を求めて来館した利用者が実際に望みの資料にたどりつけるかどうか
利用の各段階を通過できた人数を集計し,最終的な入手確率を算出
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利用者調査
調査票(アンケート)などによって,利用者に直接評価を依頼
来館者調査
来館者に依頼 → 非来館者からの意見は得られない
→ 郵送などによる標本調査
コレクション管理の問題
コレクションの増加 → 書架の狭隘化
内容が古い・汚破損のひどい資料
利用者ニーズの変化,など
→ 必要な資料と不要な資料を選別
コアコレクション
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(ランカスター著『 図書館サービスの評価』より)
少数の資料によって利用の大半がまかなわれ(コアコレクション),ほかの大部分はあまり利用されない
利用の80%は,20%の資料でまかなわれる
ジップの法則(語の集中と分散),ブラッドフォードの法則(論文の集中),ロトカの法則(論文の生産性),パレートの法則(経済学)と同様の経験則
フィクション(小説,文学作品等): 全利用の95%を占める資料
ノンフィクション: 〃97%を占める資料
参考図書(雑誌・新聞等も含む): 〃99%を占める資料
ウィーディング(不要資料選択)
使われない資料を除架・除籍し,新鮮で利用される蔵書の形成
除籍には慎重な日本の図書館
ウィーディングのプロセス
除架・移管
利用可能なものは,保存書庫や保存図書館に移動
除籍・廃棄
他機関への寄贈,業者への売却,無償での提供,溶解・焼却など
資料の利用可能性を検討した上で選択
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(三浦,根本共著『コレクションの形成と管理』より)
不要資料の選別
老化(obsolescence)
資料の利用は年数の経過によって減少する傾向
出版物の書誌データと貸出データを組み合わせることで,ほとんど利用されない図書の「年齢」を識別
雑誌の選別
貸出統計の利用は難しい
被引用回数や電子ジャーナルの利用統計による調査
基準(三浦,根本共著『コレクションの形成と管理』より)
利用されていない資料か
内容や情報が古くなっている資料か
物理的に痛みのひどい資料か
他にすぐれた版が入手できる資料か
大学,学校,企業等の親機関の関心やプログラムの変化により必要性の失われた資料か(主題内容や言語)
重複している資料か
一定の年数を経た資料か
除架・除籍基準の例
資料の廃棄に関する事件
2001年 図書館員が思想的な嫌悪を理由に特定の資料群を廃棄したことに対して,著者らが提訴
2005年 原告側(著者側)が勝訴
公立図書館の職員である公務員が,閲覧に供されている図書の廃棄について,著作者又は著作物に対する独断的な評価や個人的な好みによって不公正な取扱いをすることは,当該図書の著作者の人格的利益を侵害するものとして国家賠償法上違法となる。(裁判要旨より)