第7回:非印刷資料,電子資料,その他の資料
到達目標
1.映像資料を提供する際にどのような留意が必要か。
2.図書館が電子資料を提供するためにはどのような課題があるか。
マイクロ資料
図書その他の資料を,写真技術によって,肉眼では読めないほど小さく縮小した複製資料(『図書館用語集 三訂版』)
図書館で利用されるマイクロ資料
マイクロフィルム
大量の情報の記録に適している
TACフィルムやPETフィルム
アパチュア(アパチャ)カード(AP):フィルムの1コマを窓上に切り抜いたカードに貼り付けたもの
https://scrapbox.io/files/6479869c769c3b001cf4e249.jpg
(西日本アレンジメント株式会社)
マイクロフィッシュ
105x148mmのカード状で複数ページを1枚に収めたもの
https://scrapbox.io/files/647452106ca39b001b1da496.jpg
富士マイクロ株式会社
特徴
再生機器が必要
優れた耐久性
100年(TACベース)~500年(PETベース)
定型性
保存・管理の容易さ 高
検索・アクセスのしやすさ 低
保存
専用の書架に整理
マイクロ資料の劣化
ビネガーシンドローム(加水分解)
TACフィルムから生じる酢酸による劣化
変色,カビの発生,斑点(マイクロ・スコピック・ブレミッシュ)の発生など
https://scrapbox.io/files/6474529496dec4001befb0ee.png
https://scrapbox.io/files/647452b86ca39b001b1db302.png
(『マイクロフィルム保存のための基礎知識』より)
マイクロ資料の保存条件(JIS Z 6009 銀−ゼラチンマイクロフィルムの処理及び保存方法)
https://scrapbox.io/files/647452d2acb84a001c7651e2.png
(『マイクロフィルム保存のための基礎知識』より)
マイクロ資料保存のガイドライン
『マイクロフィルム保存のための基礎知識』(国立国会図書館)
『マイクロ資料の保存ガイドライン』1996改訂版(株式会社 国際マイクロ写真工業社)(抄訳)
https://www.youtube.com/watch?v=mRuT7TEs2O4
収集
購入
販売業者から購入: 例)株式会社ニチマイ
マイクロ化
自館製作,外部専門業者への委託
寄贈
映像資料の種類
再生装置を必要とする資料
動態(動画)の資料,静止画資料
再生装置を必要としない資料 = 静止画資料
動画資料
映画・記録フィルムなどのDVD,ビデオカセットなど
提供と収集
映画の著作物
著作権法における頒布権
著作権法38条1項によって,無償での上映可能
第三十八条 公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。ただし、当該上演、演奏、上映又は口述について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない。
日本映像ソフト協会との合意
著作権法38条5項によって,図書館が補償金を支払って,貸与可能
5 映画フィルムその他の視聴覚資料を公衆の利用に供することを目的とする視聴覚教育施設その他の施設(営利を目的として設置されているものを除く。)で政令で定めるもの及び聴覚障害者等の福祉に関する事業を行う者で前条の政令で定めるもの(同条第二号に係るものに限り、営利を目的として当該事業を行うものを除く。)は、公表された映画の著作物を、その複製物の貸与を受ける者から料金を受けない場合には、その複製物の貸与により頒布することができる。この場合において、当該頒布を行う者は、当該映画の著作物又は当該映画の著作物において複製されている著作物につき第二十六条に規定する権利を有する者(第二十八条の規定により第二十六条に規定する権利と同一の権利を有する者を含む。)に相当な額の補償金を支払わなければならない。
→ 著作権処理済みの市販品を購入: 例 株式会社 M.M.C.
静止画資料
再生装置を必要とする静止画資料
マイクロ資料
CD-ROM,DVDなどに収録された静止画
再生装置を必要としない静止画資料
写真・絵葉書
地域資料の1つとして保存
横浜市立図書館 絵葉書「Yokohama’s Memory」
紙芝居
図書館行事・貸出
都立多摩図書館所蔵街頭紙芝居
その他: ポスター,設計図など
録音資料
ディスク:CD,レコード(SP盤,EP盤,LP盤),LDなど
テープ
インターネット配信や新しい媒体は,ほぼ未対応
利用
貸出実績多 ← 提供状況に大きな差異
視聴覚エリアの設置が必要
利用による劣化
テープ: 再生回数,誤って消去されるなど
CD: 盤面の傷,付属資料(歌詞カード等)の欠損
収集
購入
自館製作→録音室の設置
寄贈,交換
電子資料
図書館法制における電子資料
一  郷土資料、地方行政資料、美術品、レコード及びフィルムの収集にも十分留意して、図書、記録、視聴覚教育の資料その他必要な資料(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られた記録をいう。)を含む。以下「図書館資料」という。)を収集し、一般公衆の利用に供すること。 (図書館法第三条一項)
電子資料の種類
パッケージ系電子資料
CD-ROMやDVDなど物理的な媒体に保存された資料
『最新科学技術用語辞典』(三修社,1985年)が日本での初期の電子出版物
ネットワーク情報資源
ネットワークを介して提供される情報資源(リモートアクセス)
電子ジャーナル,電子書籍(電子ブック)
デジタルアーカイブ(第12回)など著作権保護期間が過ぎた資料の公開
個人サイトなどインターネット上で作成された情報資源
殆どは図書館の対象外
ウェブ・アーカイブ
電子資料の構成要素
コンテンツ(情報・内容そのもの)
フォーマット
多様なファイル形式
ハードウェア
携帯電話・スマートフォン,専用端末など
図書館での閲覧用端末の提供は増加傾向
配信方法
デジタル著作権管理(DRM)による不正コピーや改ざんの防止
電子資料をめぐる課題
永続的なアクセス保障 → 多様な環境・機器の整備
図書館員に求められる知識・技術
表現の自由に関する問題
配信プラットフォームに強い権限
Kindleから無断で購入済みの書籍データが削除された事件に対するAmazonの対応
利用者のプライバシーの保護
その他の資料
小冊子・パンフレット
地図資料
楽譜資料
政府刊行物
地域資料(郷土資料)
「図書館の所在する地域や自治体に関係する資料」(「図書館情報学用語辞典」)
「それぞれの「地域」に関わる資料・情報を後世に継承していくことの重要性」(全国公共図書館協議会)
灰色文献
「書誌コントロールがなされず,流通の体制が整っていないために,刊行や所在の確認,入手が困難な資料」(「図書館情報学用語辞典」)
自治体の資料,同人誌,テクニカルレポートなど