第6回:点字・録音資料
到達目標
1. 図書館が提供する障害者向け資料にどのようなものがあるか。
2. 図書館は,障害者向け資料の作成に関してどのようなことができるか。
提供の意義
図書館の目的: 知る自由の保障
→ 活字を中心とした資料の提供
table:日本の障害者数
総数 視覚障害 聴覚・言語障害 肢体不自由 内部障害 不詳
4,287 312 341 1,931 1,241 462
障害者サービス
障害者の「読む自由」「知る自由」の保障
→ 障害者向け資料の提供も必要
「公立図書館の任務と目標」
「43 (略)また,視覚・聴覚障害者のために,点字図書,録音図書,大活字本,字幕付映像資料などの資料の収集にも努める。」
「45 (略)さらに,障害者のために,それぞれの必要な資料の製作に努める。」
「図書館の設置及び運営上の望ましい基準」
「ウ (障害者に対するサービス) 点字資料、大活字本、録音資料、手話や字幕入りの映像資料等の整備・提供、手話・筆談等によるコミュニケーションの確保、図書館利用の際の介助、図書館資料等の代読サービスの実施」
合理的配慮の提供を義務付け(2016年4月)
「障害のない人が受けることのできるすべてのサービス」(ガイドラインより)に対して対等なアクセスを提供
点字資料
点字: 主に視覚障害者が触覚で読む文字
「墨字(すみじ)」(普通の文字の総称)
種類
点字図書
墨字の図書を点訳したもの
点字(点訳)絵本
「一般に市販されている絵本の文章や絵の説明等を透明の点訳シートに書き写し,それをもとの絵本に貼り付けて,健常者と視覚障害者が一緒に楽しめるように工夫したもの」(岩田美津子『点訳絵本のつくり方』より) 点字教科書・拡大教科書等
検定教科書の拡大・点字化など可能に
作成
点字器と点字用紙
標準型点字器,点字タイプライター,コンピュータ点訳(現在の主流)
https://scrapbox.io/files/646f5104a1b7f2001c0c6f83.png
要望に基づく製作 + 製作のタイムラグ → 選択の幅が狭い
点字図書の所蔵・所在情報
その他の視覚障害者向け資料
大活字本
大きな活字で印刷された本
弱視者や高齢者向け
https://scrapbox.io/files/646f51afe2cf58001b7fd19f.png
拡大写本
文字を大きく書き写したり,字体を工夫した本
弱視者や学習障害,ディスレクシア(識字障害)向け
https://scrapbox.io/files/646f51e8b611ab001ca303ce.png
録音図書
中途視覚障害者
「成長してから病気やけがなどで視覚に著しい障害を有するようになった人」(『デジタル大辞泉』より)
点字を読むことが苦手 → 音声による読書
録音図書の種類
読み上げた音声をカセットテープ・CDなどへの録音
デイジー(DAISY)図書
近年は,インターネットによる配信と音声読み上げソフトの利用も
DAISY(デイジー)録音図書
Digital Accessible Information SYstem
デジタル録音図書の国際標準規格
音声情報とテキスト情報の同期 + イメージ画像や動画の組み込み → マルチメディアデイジー
目次から読みたい章や節、任意のページに飛ぶことができます。
MP3などの最新の圧縮技術で一枚のCDに50時間以上も収録が可能です。
W3Cの標準技術であるXHTML(webページを記述するための言語)、静止画や動画、テキストや音声を同期させる言語であるSMILをDAISYの仕様に取り入れています。
マルチメディアDAISY図書は音声にテキスト、画像をシンクロ(同期)させることができます。
https://www.youtube.com/watch?v=xmxOdgXmU3U
その他の障害者向けの資料
布の絵本
https://scrapbox.io/files/646f53a2daf6f8001c6ea31a.jpg
(埼玉県立図書館ウェブサイトより)
布で作られた触る絵本
若干の市販資料以外は,ボランティアによる製作
読みやすい図書
ディスレクシア(文字の読み書きに関する障害),発達障害,知的障害など読みの問題に対する支援
ピクトグラム(ピクトグラフ)
ピクトグラム(絵文字など)を使ってだれにでも分かりやすく表現
リライト
文章をわかりやすくリライト(書き直す)
LLブック
「「LL」とは、スウェーデン語のLåttlåstの略語で、「やさしく読める」という意味です。やさしい語彙や文法を使う、写真や図を多用する、単純な構成にするなどの工夫がされており、知的障害などにより言語理解に困難がある方や、日本語を学習中の方にも読みやすくなっています。最近は、読みやすいLL漫画も研究されています。」(NDL「障害者向け資料の紹介」より) https://scrapbox.io/files/646f5470b1b256001b5ccf29.jpg
障害者向け資料の作成
著作権法 2009年改正
視覚障害者等向け資料を作成できる機関が増加
多様な形態での複製
障害者向け資料作成のためのガイドライン
(目的)1 「このガイドラインは,著作権法第37条第3項に規定される権利制限に基づいて,視覚障害者等に対して図書館サービスを実施しようとする図書館が,著作物の複製,譲渡,自動公衆送信を行う場合に,その取り扱いの指針を示すことを目的とする。 」
(経緯)2 「図書館団体は,著作者の権利に留意しつつ図書館利用者の便宜を図るために,同協議会を構成する権利者団体(以下「権利者団体」という。)と協議を行い,権利者団体の理解の下にこのガイドラインを策定することとした。 」
(補足)二次利用マーク
自由利用マーク(文化庁)
「著作物を創った人(著作者)が,自分の著作物を他人に自由に使ってもらってよいと考える場合に,その意思を表示するためのマークです。」
https://gyazo.com/a365c0abd57b798ce66e17b7fd59e38c
クリエイティブ・コモンズ(Creative Commons: CC)
「CCライセンスはインターネット時代のための新しい著作権ルールの普及を目指し、様々な作品の作者が自ら「この条件を守れば私の作品を自由に使って良いですよ」という意思表示をするためのツールです。」(「クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは」より)
出版物の利用条件を明示する運動
「保護」から「PD(Public Domain)」への間の段階的な権利を主張
クリエイティブ・コモンズの種類(「CCライセンスの種類」より)
https://gyazo.com/1d1f385b96babd53c3c38bf20ff88a6a
ちょっと調べてみたところ,2009年くらいにPixivで「Pixivコモンズ」という作品の二次利用についての意思表示があったようですが,Pixiv公式サイトの「Pixivコモンズ」説明ページのリンクが切れていたのでもう使われていないようです。