本川裕『統計データが語る日本人の大きな誤解』
2013/11/8 発行なので、第二次安倍政権以降の変化は分からない
統計的には暮らし向きは良くなっている
雇用は改善し「トータルな生活実感」としては、実質賃金の減少のマイナスを補って余りある
民主党政権時から改善の兆候は見られたため、アベノミクスのおかげかどうかは不明
金融緩和や財政赤字の累積といった犠牲を払いながら、経済循環上の回復傾向を邪魔しなかっただけとも解せる
統計データから巷間に流布する通説の誤りを明らかにする
技術力は下がってない
欧米に対する製造業の技術依存度は減ってきている
特許出願数で言えばシリコンバレーよりも東京の方が多い
格差は縮小している
相対的貧困率
日本の場合は終身雇用と年齢別賃金格差によって相対的貧困率が高まる
年金生活の高齢者が増えたことも上昇に影響している
日本にも富裕層はいるが、社会全体における影響度はアメリカほど大きくない
貧しさのために生活必需品が買えなかった経験をしたかどうかの国際比較は調査対象国で一番低かった
特権的に所得が高かった中高年層が没落した結果格差が縮小したのだが、その没落層や没落予備軍が自己防衛のために格差拡大という論調を増幅させたのではないか
公共事業は一時期増えすぎたが、今度は減らしすぎ
国土交通省は、日本は災害が多いので対GDP比を他国よりも高く維持する必要があると主張
高齢化、人口減もあり、インフラ整備や研究開発に投資すべき
労働時間は長いが、ストレスはそれほど高くない
「仕事中でストレスを感じること」や「ぐったり疲れて仕事から帰るか」という質問で、「いつもある」「よくある」「ときどきある」「ほとんどない」「まったくない」から選択すると、他国と比べてストレスが高いとは言えない
ストレスを感じる人と感じない人が分かれている
欧米は中ストレス型、途上国は両極分化型が多い
日本は欧米流の効率優先の働き方と近代化以前の働き方の両方が混在しているのではないか
日本は疲れにくい人が多い
ブラックな環境を作りやすいのはこれのせいでは?
自殺数は増えていない
自殺率も元来の水準
それでも他の先進国と比べると最も高い
年齢別の違いがなくなってきている
女性の自殺率は低下している
生産年齢人口の男性の自殺が多い
脱工業社会では「計画能力(男性が高いとされる)」よりも「状況対応能力(女性が高いとされる)」の方が有効
自殺率は高いがうつは多くない
医療費は低い
貧しくて医療が受けられなかったのは2013年時点で3%(英、独で10%、米は31%)
今後増やす必要がある