井上達夫『共生の作法』
井上達夫『共生の作法』
hysysk.icon 32歳の時の著作
人権のように「語権」があるとすれば「正義」は差別されている
嶋津格の「差別」の定義は「個人の過誤をその人が属する集団全体の本質に内在する欠陥の発現とみなす態度」
正義アレルギーの背後にあるのも、正義の味方を自称する狂信者の愚行・蛮行を正義理念そのものの本質に帰責する怠惰な精神
正義論の存在理由に対する最も根源的な挑戦を突き付けているのは相対主義
相対主義による正解の不存在証明が成功していないことを示す
正解へ導いてくれる確かな「解法」がないにも拘らず、正義の存在を想定して正義の問題についての論議を続行していくことが、充分意味のある健全な営みであることを示す
方法二元論
事実と価値の峻別
正義の理念にコミットするということは、「何が正義か」について超越者が知っている正解にコミットすることではなく、この問いそのものにコミットすることである
正解がどこかにあるから問うのではない
答えを共有するのではなく、問いを共有することによって結合する社会
異なる解答を持つ他者と緊張を孕んだ対話を生き抜こうとする決意