レポートや論文のオリジナリティ
2023-12-18 - 掲載(ただし改訂予定)
要点:オリジナリティは必要だが、それは著者独自の意見・感想のことであるとは限らない。
アカデミック・ライティングにおけるオリジナリティは、情報の組み合わせ方にこそ発揮されるべき。
論文やレポートは、世界に現存している既知の情報の組み合わせによって構成される。
引用・参照される「既知の情報」には、学術的なものも学術的ではないものも含まれるが、
前者が全く含まれない場合、それをアカデミック・ライティングと呼ぶことはできない。
情報をただ複製して並べただけのレポートは、ゴミの総量を増やすマイナス効果の方が大きい。
「感想」は書かない。
「論文やレポートは意見文である」と説明されることもありますが、必ずしも「価値判断を伴う意見」が中心にならなくてもよい。
むしろ「特定の理論に基づき、情報を組み合わせたところ、このように見える」という分析の結果について述べてほしい。
非アカデミックな文章を、アカデミック・ライティングのお手本にしない。
考えてみれば当たり前のことだと思うのですが、なぜか大勢の人がこれをしています。
自分が履修している授業・演習の教員が書いた論文を読んでみましょう。
既知の情報からオリジナルな結論へと辿り着くためのコツ
最初に「問い」を立て、端的な「答え」とセットで述べる。
娯楽作品とは異なり、冒頭にネタバレを書くのが一般的。
「なぜこの情報を引用・参照したのか」がわかるように書く。
逆に、「問い」の解明に役立たない情報は捨てる。
論文やレポートは、それを書くまでの「勉強の履歴」を開示する場ではない。
ゼミでの進捗報告であれば、状況によって推奨されます。
「問い」に至るまでのアプローチ例(経営学の場合)
なぜ理論と現実が同じ/違うのかを解釈する。
既存文献と同じ現象・事例を、異なる理論やフレームワークを用いて解釈する。
既存文献を発展させてもいいし、批判してもいい(というか、発展は批判から生まれる)。
現場の言葉を理論の言葉で翻訳する。
すると、誰かの「経験則」や「持論」をより幅広い文脈へ「一般化(敷衍)」することに繋がる。