MIT Tech Review: 人間は「クモ」になれる——VRを使った身体「所有」感覚の最新実験
最近になって、もっと簡単に身体所有感の錯覚を起こせる方法が発見された。そこからは、さまざまな興味深い疑問が提起される。研究者は、人間の脳がどの程度極端な形の身体まで受け入れることができるのかを知りたがっている。たとえば、クモやロブスターの身体、さらにはテーブルなどの物体を「自分の身体として感じる」ことができるのか? この錯覚を簡単に引き起こせるとすれば、どれほどの広範囲にこの種の錯覚を起こせるのか?
ドイツのデュースブルク=エッセン大学のアンドレイ・クレクホフらの研究チームが最近、この疑問の答えにつながる研究論文を発表した。同研究チームは、どのように人間が身体の所有感を錯覚するのか、人間の身体とトラやコウモリ、クモなどの人間以外の身体を対象にして比較研究した。
クレクホフらによると、人間は場合によっては、人間の身体よりも人間以外の身体に対して身体所有感の錯覚を起こしやすいという。この結果は、バーチャルな身体所有感を応用する道を切り開き、トレーニング分野や教育分野、そしてもちろん、大きな可能性が見込まれるビデオゲーム分野で重要な役割を果たすことを示している。
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