日米におけるVR治療の最前線。VRリハビリで失った手足が蘇る。
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テクノロジーで脳の「誤作動」を解消。バーチャル空間を用いた新しい治療法に迫る
Matthew:続いては、日本で難治性疼痛のVRリハビリテーションを共に開発されている、株式会社キッズの猪俣一則さんと、パワープレイス株式会社の井上さん、よろしくお願いいたします。 https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/prod-healthtechplus-wp-static/wp-content/uploads/2019/04/Health2.0_VR_5.jpg#.png
(写真右)株式会社キッズ 代表取締役社長 猪俣 一則氏
(写真左)パワープレイス株式会社 リレーションデザインセンター ビジュアライゼーションデザイン室長 井上 裕治氏
猪俣一則(以下、猪俣):株式会社キッズの猪俣と申します。私たちはVR/AR技術を応用した「幻肢痛」の治療に取り組んでいます。実は私自身もその幻肢痛をもっていた一人なのですが、認知度が低い病気なので、まずは幻肢痛についてご説明しますね。
手足を切断、もしくは神経を損傷して感覚を失ったとき、まるで四肢がまだ存在するかのような錯覚「幻肢」が現れます。目を閉じると昔と変わらず指先まで感じ、温かさや痺れを感じるのです。そしてこの幻肢が猛烈に痛みます。物理的にある手が痛いのではなく、頭の中で感じている幻肢が痛いのです。仕組みとしては、脳が送った信号に失った部分からのフィードバックがされないことに対し、危険信号として痛みを発しています。
そんな幻肢痛を取り除くため、私たちはバーチャルで幻肢を再現し、随意的に動かせるプログラムを開発しました。健常側の腕の動き、肩、肘、手首、5本の指を赤外線で計測し、患者さんが持つ幻肢のイメージ位置にフィットするよう、バーチャル上に手を出現させる。私自身、このVR治療によって30年間痛み続けた幻肢痛が無くなったのです。