Tumblr 創世記
Tumblr(タンブラー)は、メディアミックスブログサービス。ブログとミニブログ、そしてソーシャルブックマークを統合したマイクロブログサービスである。アメリカのDavidville, Inc.(現: Tumblr, Inc.)により2007年3月1日にサービスが開始された。
2011年3月から日本語ベータ版の提供が開始されている。
2013年、Yahoo!に買収される。
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/f/fc/Pieter_Bruegel_the_Elder_-_The_Tower_of_Babel_%28Vienna%29_-_Google_Art_Project_-_edited.jpg/640px-Pieter_Bruegel_the_Elder_-_The_Tower_of_Babel_%28Vienna%29_-_Google_Art_Project_-_edited.jpg
dashboard の深さ が有限であることを、皆様ご存じでしょうか?これはフォローしている古参の種類によりますが通常、2007/3/末〜4/始あたりといったところになります。 さて、Webの世界において、2006年から2007年にかけては実にエポックメイキングな年でした。 さて、今回取り上げたいのは AutoPagerize についてです。 今や私達は web ページはスクロールで、過去へ進むことが出来ること。そして web ページというのは「潜るもの」である。というのを当たり前のように受けいれています。それもこれも AutoPagerize が私達の感覚を変えたといっても過言ではないでしょう。 そんな、みんな大好き AutoPagerize は2007年1月に誕生しました。 いつのまにかいろんなサイトがAutoPager化されるとかも実現できるんじゃないのかな。
サイト用データを外部から取得するようしました。 取得先は復活していたinfogamiです。
一番最初は2007/01/13のものです。
code:_
14 del.icio.us用
15
del.icio.us、YahooJapan、YahooJapanオークションのわずか3つの SITEINFO だけでした。 ここで、みんな大好き tumblr の SITEINFO がどのタイミングで登録されたのか見てみましょう。まず皆さんが「表側」と呼ぶユーザーページ側が登録されたのが 2007/05/01 です。 code:_
15 ### tumblr
16
そして、皆さんが「裏側」と呼ぶ dashboard 側が登録されたのが 2007/05/03 のことです。 code:_
15 ### tumblr(dashboard)
16
登録者は brazil サンですね。皆さんご存知 tombloo の開発者であります。history を見るとわかるのですがかなり最初の内から SITEINFO の登録を行なっています。 さて、今の視点から見れば、brazil サンと swdyh サンの距離が近いことはそんなに不思議は無いのですが、それはあくまでも現在の視点に立って過去を見ているからに他なりません。ということで AutoPagerize 1st がリリースされた2007/1月まで時計の針を巻き戻してみます。 AutoPagerize が産声を上げる数日前の2007/01/09 平日火曜日の19:30から1時間ほどの小さなトークセッションが行われました。 そのトークセッションは、「Wiki小話/Vol.7 - Podcastle Night。」と呼ばれるものでした brazilさんの発表がやっぱり印象的だったなあ。
あと江渡さんが言っていた「集合知によって改善するシステム」っていうのがなんかしっくりきた。 brazilさんのJavaScriptをWikiに書いてなんとかかんとかっていうのも、そういうことなんだろうなあ。 その、Wiki小話の主催者だった tsukamoto サンに話しを聞いたことがあります。期待したような劇的な出来事があった訳ではなかったようで、拍子抜けしたのを覚えています。ただ、まあ少なくとも AutoPagerize の誕生には大きな要因になったことは間違いないでしょう。 さて tumblr についてです。2007/04/27 に早速 tumblr ver2 がリリースされます。 このとき実装された機能は
http://gyazo.com/f55f24e38d3c4b7696fc395940c02c37.png http://gyazo.com/f55f24e38d3c4b7696fc395940c02c37.png
はい。みんな大好き REBLOG です。 今や tumblr の代名詞である Reblog なのですが、これは最初から tumblr に存在する機能ではありませんでした。このとき始めて世界に Reblog が現われました。ハレルヤ。 このように、AutoPagerize の開発と Reblog の誕生という奇跡のような偶然の一致によって、我等、リブログマンキーという種族はこの世に生を受けたわけです。 ところで、アレ? 何かが足りませんね。そうです、 tombloo です。そのお話については次回に続きます。 http://taizooo.tumblr.com/post/370664889 http://25.media.tumblr.com/13589396_500.jpg
本当に重要なことは、何度も何度も目にすることになる
今回はここから、始めます。この引用は私達にとって、すでに古典として重要なものとなっています。 dashboard で繰り返し同じ post が現われることについての意味を、私達はここに見い出しています。 さて、この post がされたのは、2007/04/07でした。実は、 yuiseki サンが tumblr に join したのは2007/04/06でした。わずか一日でこの「動物的情報化」を書いた訳です。驚くべき洞察力です。どのように月面着陸よろしく、 tumblr と向き合ったのかちょっと覗いてみましょう。 流れるようにアウトプットする なるほど。 たしかに。 だんだんこのサービスの良さがわかってきた。 情報を「収集する」という考え方はもう古いと思うが、それと同様に 情報を「発信する」という考え方も、もはや古いのかもしれない。
収集と発信。インプットとアウトプット。
何かが足りない。 そうなのです、 Reblog (スループット) が足りません。 先の「動物的情報化」にも「流れるようにアウトプットする」にも Reblog に関係するような言葉は全然見当りません。この時点では Reblog は存在しないのです。実は、「動物的情報化」も「流れるようにアウトプットする」も、リブログ紀( reblog era)以前の文章だったのです。 みんな大好き Reblog が誕生したのは、2007/04/27 に tumblr ver2 がリリースされた時のことでした。 このとき実装された機能は
http://gyazo.com/f55f24e38d3c4b7696fc395940c02c37.png http://gyazo.com/f55f24e38d3c4b7696fc395940c02c37.png
とにかく1日に数千件のエントリをひたすら「処理」する。一つ一つはどうでもいい。
情報のインプットに限らず、アウトプットにも同じことが言えるのかもしれない。
一つ一つのポストは互いに脈絡のない”点”でしかないかもしれないが、 やがてそれら大量の点を通して自分の脳全体のアジェンダを可視化していく 1000feeds in your sight
Livedoor Reader は、Web を読むという行為を、そのテクノロジーとインターフェースで極限までスピードアップしました。それは1000以上のフィードを読むこによって初めて見ることの出来る景色を、コアな Web ジャンキーに見せつけることとなりました。 Blogging has mutated into simpler forms (specifically, link- and mob- and aud- and vid- variant), but I don’t think I’ve seen a blog like Chris Neukirchen’s Anarchaia, which fudges together a bunch of disparate forms of citation (links, quotes, flickrings) into a very long and narrow and distracted tumblelog . Many of the tumblelogs I ran across seem to be powered by Ruby on Rails, itself a quick and dirty programming framework that emphasizes fast prototyping. You can kind of see how tumblelogging is the blog equivalent of Rails.
さて、 anarchaia ですが、2005/03/27に一番の post がされています。ちょっと見てみましょう。 http://cache.gyazo.com/94778f0d078134157c5ecd22e06fb97b.png http://cache.gyazo.com/94778f0d078134157c5ecd22e06fb97b.png
1. Links
2. Flickr images (photo)
3. Quotes
4. IRC quotes (chat)
5. Lyrics
その後、thought (text) が、追加され6個の型を持っていました。
tumblr はpostの種類を7つにわけた。ふつうの文章、写真、引用、リンク、チャット、音楽、映像。 tumblr は当初、Text, Photo, Quote, Link, Chat, Video の6つ型を持っていました。その後 Audio が追加されて、最終的には7つの post の型を持っています。どうやら tumblelog において、この「post には型がある。」というルールは、大変重要な共通事項のようです。 だけどソーシャルブックマークにも弱点が有って、.jpgとか.gifみたいな画像ファイルを直接記録するのに向かない。これはただ単に、ソーシャルブックマークサービスがタイトルテキストしか表示しない事に割り切ったデザインをしているからなんだけど。
その点で言うと Tumblr_ は、さらに一歩踏み込んだ設計をしている。
「Text Photo Quote Link Chat Video」という6つの種類に特化して投稿することでリンクの仕方や見え方がばっちり来るようになっている。
ソーシャルブックマークの歴史は del.icio.us が2003/9月に誕生したときに始まりました。
そして日本では、2005/02/10のはてなブックマークの誕生により一般化したと言えるでしょう。 この2007年の春の時点では、 Livedoor Reader といったフィードリーダーの普及が、「Web を読む」という行為を極限までスピードアップした一方、「Web に書く」という行為の受け皿として存在したのは url 単位という低い解像度のソーシャルブックマークと、スピードが遥かに遅いブログでした。
そういった時代に tumblelog という七色の衣を纏ってインターネットの金色の野に降りたったのが tumblr だったのです。 極限値にまで逹したインプット、旧態然とした低速度、低解像度なアウトプット。限界を越えた情報の雨と、溢れる欲求。まさしくそのような欲求に飢えていた、新し物好きの愉快な Web ジャンキーどもに熱狂的に受け入れられて、 tumblr はそのデビューを飾ることとなりました。 そして、6年を経た現在でも、その七色の輝きはいまだ衰えを知りません。 さて、みんな大好き Reblog が、人々を混乱させ、惑わせ、魅了して、そして受け入れられ、私達の時代が訪れるのはそれ以降の話となります。そのお話については次回に続きます。 創世記 その三 ( reblogcommand の巻 )
http://03633610.tumblr.com/post/35391679239/soulsurfer3-laird-hamilton-at-jaws http://24.media.tumblr.com/tumblr_lyjeo4mBOz1qzwh0oo1_1280.jpg
ハワイのジョーズで世界一速いスーパービッグウェーブを乗りこなすために、ジェットスキーとストラップで足を固定するイカレたシェイプのサーフボードの組み合わせが発明されたのと、アラスカのチュガッチのディープパウダーを滑るために、ヘリとスーパードゥーパーファットスキーやビッグガンスノーボードの組み合わせが発明されたのと、 Tumblr のすげぇークールな dashboard を乗りこなすために、FirefoxとAutoPagerizeとLDRiseとminibufferと未だ見ぬ何かの組み合わせが発明された話をいつか書く. 魅惑的で刺激的な「場」と、それを克服するための「道具」の組み合わせは、いつでも新しい世界を築いてきました。
1992年、ハワイ、JAWS と呼ばれるそれはそれは巨大な波が立ち上がるポイントで、何人かの男達が頑丈なゴムボートとそれに引っ張られるサーフボードに乗って波をまさにテイクアウトしようとしていました。そのサーフボードにはストラップが取り付けられ足が固定されるようになっていて、その形は異様に細くシェイプされていました。人力で波に乗るには初速が全然足りないくらいの速い大きな波です。それを彼らはボートで牽引することで克服しようとしていました。サーフボードはその波のスピードの速さに負けないくらい抵抗の少ない高速なシェイプが施されていたのです。後にトゥーイン・サーフィンと呼ばれるスタイルの誕生です。 その同じ頃、アメリカの雪山ではパウダージャンキーなスキーヤー達は、その浮力の大きさに利するスノーボードの後塵に拝していました。その当時スキー界のロックスター達は細長い2m以上という競技用の板に乗っていました。そんな中、何人かの男達が見るからにずんぐりむっくりな幅が太く長さの短い板を握っていました。その板はファットスキーと呼ばれていました。当時、そのファットスキーはお金持ちのお爺さんお婆さんがアルプスあたりで手軽にパウダーを滑るための道具とみなされていました。彼らはその醜いファットスキーで、世界一スティープでディープなパウダーに挑みます。それはアラスカ、バルディーズのチュガッチと呼ばれる山々でした。ハイクアップ不可能なその切り立った山頂にヘリで一気に横付けして、何本も何本もラインを刻んでいきました。 Reblog
みんな大好き Reblog が登場したのは、2007/04/27 に tumblr ver2 がリリースされた時のことでした。 このとき実装された機能は
http://gyazo.com/42253367f032b1b8db21dc000af7800e.png http://gyazo.com/42253367f032b1b8db21dc000af7800e.png
今や tumblr の代名詞である Reblog なのですが、これは最初から tumblr に存在する機能ではありませんでした。このとき始めて世界に Reblog が現われました。ハレルヤ。 M,2007-05-01,1178010000000, 1393060 M,2007-06-01,1180688400000, 2667161 M,2007-07-01,1183280400000, 4812714 M,2007-08-01,1185958800000, 6907290 M,2007-09-01,1188637200000, 9913461 時が経つにしたがい徐々に徐々に reblog が浸透していきました。たがが外れたように reblog を連射する奴等(つまり、われわれ)が現われるには、ある道具の誕生を待つ必要がありました。 2007/02/28
2007/02/28のことです。 dashboard には、またいつものように、公式なアナウンス無しにいくつかの新しい機能が追加されました。 Radar’s back, now not the latest posts, as the earlier version did, but some more editorial control, at least partially based on stuff like reblogs.
Dates! Not romantic ones, but date pages, like this. See the theme page. Also, there is now a {block:Pagination} block.
Staff picks. Tumblelogs around the world (Google maps, yay! Set your location in the “customize” menu, “directory” tab). Nicely designed tumblelogs. Womanfolk, er, tumblettes. Music tumblelogs. Artsy people. In short, lots of new ways to find new tumblelogs.
Preview! Now you can preview posts before publishing. Not much more to say, other than that it’s appreciated.
“Brag”: now Tumblr can show a “Create a site like this” button in place of the dashboard , follow , etc., icons for people not logged in. Enable that under the brag tab under “customize”. tumblr .のpost編集画面にPreviewボタンが追加されていることに気付いた。特に目立つ告知もなくじわじわバージョンアップしていくこの手口は中毒性がある。 あー、preview関係のせいかも? tomblooで上手くいかないなーと。とほほ
外部のサイトのは tombloo で post 出来ますねぇ。 dashboard のみダメぽっぽいので preview 機能が臭いますよね 一日も経たない内に颯爽と現れたのが reblogcommand だった。
reblogcommand は、2008/02/29に LDRize, minibuffer の作者である snj14 サンにより、リリースされました。
使い方
tやT(shift + t)を押してください
私達の象徴である "jjjkkt" という世界がこの瞬間始まりました。ハレルヤ。 ReblogCommand は minibuffer, LDRize と呼ばれる userscript を前提としていました。 minibuffer は、環境というかエコシステムでした。これを利用してたくさんの script が作られました。これについて説明するのは大変難しいのですが、そのきっかけとなった重要な post があります。 Constellation サンによるものです。 LDRize minibuffer tumblr reblog command とは何か。 reblogcommand 誕生から遡ること半年ほど前、 ku サンが一つの userscript をリリースしました。これがその長い名前の script でした。 あとはふつうにjで進めて reblog したいとおもったものをpでピンを立てていきます。ふつうは右にピンを立てたページの名前が表示されていくのですがLDRizeの仕様上 reblog のアイコンが並んでいきます。 最後にminibufferを開いて reblog コマンドを実行すると、実際に reblog が行われます。 http://gyazo.com/9b54c417a7f4d28c18dac371388ecca1.png http://gyazo.com/9b54c417a7f4d28c18dac371388ecca1.png そうです、 "t" ではありませんでした。 ReblogCommand では "t" が使用されることになります。なぜ "t" が選ばれたのでしょうか?
LDR + ShareOnTumblr
さらに遡ること3ヶ月ほど前、ShareOnTumblr / tombloo の作者である brazil サンが一つの script をリリースしました。 LDR + ShareOnTumblr です。これは Livedoor Reader の上で動作する reblog のための script でした。 なぜ "r" ではなく "t" だったのでしょうか? それは、この LDR + ShareOnTumblr が利用される Livedoor Reader のショートカットが理由であったと考えられます。
http://gyazo.com/c497b370b27e002b3faf3664fece52ef
"r" には既に「フィード一覧の更新」という機能が割り当てられていました。ではなぜ "t" だったのでしょうか? 残念ながらそれは brazil サンのみぞ知る、です。
追記:
連鎖
tombloo の前身である ShareOnTumblr からコード片を持ってきて LDR 上で "t" で reblog を実現した LDR + ShareOnTumblr 。 LDRize, minibuffer と ShareOnTumblr のコード片を利用して "j" "k" "p" で bomb するように reblog を実現した LDRize minibuffer tumblr reblog command 。 LDRize minibuffer tumblr reblog command を minibuffer の機能を最大限に利用する形で "t" で reblog を実現した reblogcommannd 。 まるで reblog の連鎖のようなこの流れはここだけにとどまりませんでした。 連鎖はさらに続いていきます。
60rpm の時代
Tumblr においてメーカー純正の LDR + Tombloo と、サードパーティ製 Dashboard + Tombloo が二大勢力として君臨し、 reblog 界を席巻していた体制。2008年夏に1分間に60postできる仕組みが構成されためこう呼ばれる。 このようにして 2008年の夏に、60rpm( reblog per minute) と呼ばれる時代がやって来ました。われわれリブログマンキーの時代の到来です。ハレルヤ。 そして、この引用の意味を問い続ける時がやってきたのです。 世界開放流 - 動物的情報化 via KENMAT 本当に重要なことは、何度も何度も目にすることになる
さて、この問いについての答を探し続けて dashboard に潜る私達は、まるで「終らない夏」を探しているようだ、と揶揄されるようになります。そして、それが Endless Summer と呼ばれる重要な思想に繋っていきます。そのお話については次回に続きます。 http://gyazo.com/c31b5dc17356403f5e895b3abaaefeb3.png http://gyazo.com/c31b5dc17356403f5e895b3abaaefeb3.png
「遠い昔、遥か彼方 Web 辺境の地で、」
2007年7月、休日出勤の気怠い昼休み、その地に踏み出した。
これは、全く個人的な、私自身の tumblr との出会いについてのおとぎ話です。物事には始まりがあります。宇宙の誕生。原始地球からの自己複製子の登場。生命の誕生。自分の誕生。自我の目覚め。 さてそんなことはさておき tumblr という Web 辺境の地で人々がどのようにその技術を駆使して、わたしたちの世界を拡張していったのかを探していきましょう。 世界の始まり
dashboard の深さ が有限であることを、皆様ご存じでしょうか?これはフォローしている古参の種類によりますが通常、2007/3/末〜4/始あたりといったところになります。 http://cache.gyazo.com/6358a887402f36ab41add6cbe9c3fbdd.png http://cache.gyazo.com/6358a887402f36ab41add6cbe9c3fbdd.png
dashboard には底があります。一つは世界の始まりとしての底です。それは、David Karp によるファースト・ポストがそれにあたります。 そして、もう一つの底は、われわれの世界の始まりとしての底です。つまりわれわれの世紀の起源、紀元0年にあたる地点のことです。それは我々の仲間達が初めて tumblr を発見したその瞬間であると言えるでしょう。 日本で最初の男たち
さて、世の中には、それがいったい何なのか、その正体を理解していないにもかかわらず、それを見つけだす力を持つ人々がいます。いわゆる「目利き」の効く人々です。 tumblr も一番最初は、そのような人達によって見出されました。 tumblr を作っている人々自身がその意味を理解していなかった通りに、その目利き達もただその勘を頼りに、 tumblr を見出しました。 日本で一番最初に tumblr についての記事を残したのは、その後、極悪非道な開発者として tumblr 界隈を陰から牽引していったことで知られる ku サンでした。残念ながらその記事は消失してしまっていますが、はてなブックマークにその痕跡を見つけることが出来ます。 その ku サンが tumblr を見つけたのは MoMB のこの記事でした。新しい地平が広がるというには、実にささやかな紹介でした。 grabs snippets of every post that goes up on Tumblr and drops it on one page for easy scanning. 天地大戯場
この post は、AutoPagerize 時代の啓示である、「一番最初の post に何を置くのかは非常に大きな課題である。」という重要な post でもあります。 この二人がその後どのように tumblr と関わっていったのか、という事実が指し示しているのは「知っているだけでは意味がない。実現にこそ価値がある」ということそのものでした。それは、ここに生きるための規範といっても過言では無いでしょう。 その後、 tumblr はいわゆるニュースサイトでとりあげられ、新し物好きの彼等に発見されることとなります 目利き達が2007/03/13に tumblr を発見してからごく短い助走期間を経て、2007/04/03にメジャーな場に tumblr の文字が踊ることで、われわれの世紀は幕を明けました。ハレルヤ。 インターネットにも深さがある
さて、インターネッツの箱庭である dashboard の深さが有限であることを示してきましたが、その外側のインターネッツ自身においても、その深さが有限であることを示しておきましょう。 1982: TCP/IP
1991: web
1996: wayback machine
1997: google search
2005: はてなブックマーク
web は1991年に CERN にて Tim Berners-Lee によってその歴史が始まりましたが、爆発的に拡大したこの web の網の目を見渡すためには Google Search にインデックスされている必要がありますが、このインデックスでさえもその深さが有限なのでした。さらに考古学的に web を探求するためにはその地層を発掘する必要があります。web においては Internet Archive の wayback machine が唯一この役割を担っているといえますが、この地層についてもその深さが有限なのです。また人類が始めてフォークソノミーという概念で、ソーシャル、よくわかんない他者を意識する、というものに触れたのがソーシャルブックマークサービスだったのですが、これについても深さが有限なのです。 われわれの認識は、ある一定の、有限の深さに囚われています。われわれの世界の外側にわれわれが触れることの出来ない次元が存在します。これは非常に重要なことです。 また言い換えるなら、われわれの認識には起点(基点)が存在する、とも言えます。なにごとにも始まりが存在します。 その時代の始まり
2005年の初頭、ある男の咆哮がインターネットに鳴り響きました。それは、まだ何者でもなかった secondlife サンでした。その様子は2001年宇宙の旅のオープニングにて、われわれの祖先が空中にそれを投げ上げたのと同じ意味を持っていました。
Webの世界において、2006年から2007年にかけては実にエポックメイキングな年でした。
言うなれば2005年はその時代の幕開けになります。ここが起点(基点)になったと言えるでしょう。そしてその後その場所、周辺は人や技術や興味といったあらゆるものを集めていきます。
subtech, shibuya.js,
この、メインカルチャ( = 旧来の難解なコンピュータを取り巻くあれこれ)に代わって登場した、現代の新たなネットワークがもたらした知的環境が可能とした技術文化を、言葉の真の意味でのサブカルチャと捉え、また、90 年代が意味を付与した「サブカル」という響きに表される楽しさ・ユーモアを技術的表現に見いだしていく態度、それを我々は「サブカルテクノロジ」と名付ける。
さて、われわれリブログマンキーのフォースであるところの JavaScript はその当時、その中心にはありませんでした。それは reblog と同じように虐げられた存在として存在していました。その力を知られることなく。ごくわずかな人々を除いて。そして2006/02月に高らかな宣言の元、 shibuya.js が登場します。 10 年。
JavaScript は、Web の「あちら側」と「こちら側」とを取り結ぶ、もっとも古くてもっとも新しい、そして、もっとも重要な技術だ。次の 10 年を自らの手で創り出すために、我々は Shibuya.js を結成した。 shibuya.js は JavaScript を中心に、世界中に散らばっていたいろいろな人達を集めていきます。その様はまるで、以下の一節のようなものでした。 それを作れば、彼が来る」
新しい魅力的なその「場」には、次々と魅力的な人達が集っていきます。その中に、ある一人の男がいました。brazil と呼ばれるその人の登場です。
Shibuya.js Technical Talk #2 どうやって気立てがよくて頭のおかしい人にチャンネルするか
好みのキチガイを発見する
新しい魅力的なその「場」は、このような人々を見つけ出し、結びつけ、反発し、引き付け合い、大きな反響を生み出しました。brazil サンが登場したのは、Shibuya.js Technical Talk #2 でした。それは2006/06/30のことでした。 私の考えるJavaScript
そのプレゼンテーションは、カラフルでエッジの立った魅力的なものだったようです。残念ながら、その魅力は web に残っている記録から想像することしか出来ません。JavaScriipt は「場」であること、多様性、Mixable であること、などなど。プログラミングのわからない私にとっても魅力的な言葉やイメージが並びます。そしてそれは、後に現われる tumblr に相通じるイメージでもありました。 Collection & Copy - Shibuya.js、皆様、ありがとうございました
Collection & Copy - Shibuya.js、資料
Podcastle、そして
その後一ヶ月を待たずに、brazil サンは Podcastle という産総研のプロジェクトに関わることになります。
7月3日には、そこに eto さんが加わる。
7月12日のミーティングで arai さんと、arai さん経由で brazil さんが加わる。
そして、この Podcastle のお披露目の場として、Wiki小話/Vol.7 - Podcastle Night が開催されます。
AutoPagerize が産声を上げる数日前の2007/01/09 平日火曜日の19:30から1時間ほどの小さなトークセッションが行われました。 そのトークセッションは、「Wiki小話/Vol.7 - Podcastle Night。」と呼ばれるものでした
このトークセッション、発表者、参加者にはそうそうたるメンツが名を連らねています。 発表者としてブログラマー首狩り族の長として名を成す eto サン、マスター・オブ・tombloo な brazil サン。 参加者として secondlife サン、otsune サン、dotimpact サン、arton サン、mala サン、yappo サン、kzys サン、kakutani サン、tsuda サン、youpy サン、tsukamoto サン、他。そして AutoPagerize の創造主となる swdyh サン。
この短いトークセッションが残したものは非常に大きかったと言えます。 この後 tsuda サンは「CONTENT'S FUTURE」という書籍を発行します。そして、このトークセッションが縁となり eto サンとの対談が載ることとなります。このときがおそらく、パターンランゲージと Wiki と XP の関係について私達が初めて知る機会となりました。そして、これは後の「パターン、Wiki、XP ~時を超えた創造の原則」 につながっていきます。 また eto サンはいわゆる Web 界隈のプログラマー達のゴッドファーザー、またの名を、ブログラマー首狩り族の長として、数々の濃い人達をいくつものプロジェクトに巻き込みまたインターネッツの世界を広く支援していきます。 そして、この場に立ち合った swdyh サンは後に AutoPagerize 、そして wedata を開発することとなります。そして wedata は産総研の支援を受けて、このインターネットを照すことになります。またその力は、 dashboard に深く深く潜るための推進力をわれわれに与えました。ハレルヤ。 wedata は、独立行政法人 産業技術総合研究所(AIST) 共有知ブラウザプロジェクトにおける研究成果として公開しています。 そして、ここでの主役である brazil サンが、華々しくデビューした tumblr に join し、われわれのライトセーバーであるところの Share On Tumblr /tombloo を生みだすのは、その数ヶ月先のことになります。そのお話についてはまたいつか。