メンターと呼ばれる人の役割について考え直す
ぼくは、ここ数年で「メンター」という言葉をよく耳にするようになりました。学生だった時代にはあんまり見聞きする機会がなかったように思います。今では社内外でちょくちょく接点のある言葉ですが、人々の間で同じ概念を指し示せていないのでは?と不安に感じる瞬間が何度かあったので、整理してみたいと思います。 ナビゲート ビジネス基本用語集 より
メンターとは、仕事上(または人生)の指導者、助言者の意味。メンター制度とは、企業において、新入社員などの精神的なサポートをするために、専任者をもうける制度のことで、日本におけるOJT制度が元になっている。メンターは、キャリア形成をはじめ生活上のさまざまな悩み相談を受けながら、育成にあたる。 「仕事上 (または人生)」って、すごい振れ幅があっていいですね。精神的なサポートをすることで育成にあたる、と書いてありますな。
デジタル大辞泉 より
優れた指導者。助言者。恩師。顧問。信頼のおける相談相手。ギリシャ神話で、オデュッセウスがトロイア戦争に出陣するとき、自分の子供テレマコスを託したすぐれた指導者の名前メントール(Mentōr)から。
神話が出てきました。要件に「優れた」が入ってくるとなると、引き受けるハードルが高くなりますね。どういう行動をする人か、よりも、どういう関係性の人か、に重きが置かれている説明に見えます。
人材マネジメント用語集 より
・「良き指導者」「優れた助言者」「恩師」の意。自分自身の仕事やキャリアの手本となり、助言・指導をしてくれる人材のことを指す。
・人材育成の手法としても用いられており、組織として関与する上司や役職者ではなく、関与度の低い他部門の人材や先輩(役職の無い人材)をメンターとして任命し、日頃の悩み相談やキャリアパスの見本となる人材を割り当てることもある(メンタリング制度)
ひとつめの文は「デジタル大辞泉」のものに近いですね。ふたつめの文は制度について語られていて、メンティーから見てどういった立場の人がメンターに向いているか、まで踏み込んで言及しています。
人事労務用語辞典 より
Mentor。「助言者」「相談相手」「師匠」を意味します。新入社員や後輩に対し、職務上の相談にとどまらず、人間関係、身の処し方など個人的な問題まで広く相談に乗り、助言を与える人。1980年代にアメリカで人材育成の手法として制度化され、日本でも導入が進んでいます。
こちらも制度や定義について説明されていますね。
ぼくはどう捉えているか
整理しつつ書いていきます。
メンターとは「メンタリングを担当する係の人」と捉えている
Mentoring するのが Mentor というのは、言葉の対応としても納得できるものだと思う
メンタリングは、メンティがセルフマスタリーを得ることによって、完成します。そうなれば、メンターはもはや必要ありません。自分自身で設定したゴールに向かって、率先して学習していく状態になります。
これをもとに、ぼくが考えるメンターの日本語訳を挙げると「自立支援者」のようになる
メンターは保護者じゃないよな、と思う
「私はメンターなので」という意識のもと、なんでもかんでも代わりにやってあげる類の行動を見かけると、過保護な保護者に思えてしまうときがある
なんか違う気がするんだよな〜という漠然とした感覚を持っていたが、そういった行動は「自立を促さない」と捉えてみると、そこに違和感の正体がありそう
自立を遠ざけるような過保護な態度は、むしろメンターの役目と逆行してしまう
「面倒見がよい」は一見するとメンターに向いていそうな気質に見えるが、実のところは「積極的に関与したい」くらいのことしか指していなくて、そのモチベーションが正しくメンタリングの成果につながるように目的をしっかりと認識して取り組むのがよいだろう
面倒見はよいがメンタリングは下手、という状態はあり得る
遠い昔のことを思い出して「面倒見がよい状態を目指していたっぽい」「当時の自分はもっとメンタリングについて勉強した方がよかったな」などと思ってしまいました。今からでもちゃんとやっていこう…!
今後どうしていきたいか
ぼくの活動範囲において「メンター」という言葉の使い方を整理したい
「なんとなくお世話する係の人」くらいの意味で「じゃ、◯◯さんはメンターをよろしく」と雑にコミュニケーションすると取り組みの成功確率が下がると思うので、そうならないように「この組織において、メンターというのはこういう目的のための役割である」というのを明文化して共有していきたい そこを雑にやってしまう自分たちよりも、しっかりやる自分たちの方がいい活動をできるはず