これからの議論と実践においては「人」を軸とした思考が必須になる
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翻訳の問題を超えた、「サイクリスト」という線引き自体の是非についても触れておきたい。どんな自己イメージを持つかは個々の自由だから、そこはもう何でもよいと思う。一方、自転車全般、さらに交通全般、そして社会全体について考え、論じるには、「サイクリスト」というフレーミングは明らかに小さ過ぎる。 英語の cyclist でさえ、しばしば cycling より慎重に使うべき語とされる。例えば筆者が関わった Cycling Fallacies(自転車利用についてのよくある誤解)の翻訳では、人と行為を固定的に結ぶ文言をなるべく回避し「自転車で移動中の人」といった形に崩すよう内部ガイドラインで指示されている。これからの世界的かつ地に足の着いた議論と実践においては、こうした「人」を軸とした思考が必須になるだろう。 「自転車で移動中の人」
人と行為を固定的に結ぶ文言を回避する
指示範囲が cyclist と同等レベルといえる日本語の言葉は「自転車利用者」あたりだろうか。筆者もこれをよく使うが、前述のガイドラインに照らすと常にこれでよいとはいえそうにない。「歩行者」や「ドライバー」といった語もまた同様の固定化=分断のリスクをはらんでいる。こうした基礎語彙を少しずつほぐし、ずらしていくことは、困難だが重要な仕事である。 「自転車利用者」
「歩行者」
「ドライバー」
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人間の社会性、文化というのは、グループを2つに分けることから始まる
人間の社会性、文化というのは、グループを2つに分けることから始まる、と言っていて
大人 / 子供
男性 / 女性
海 / 山
山の手 / 下町
線路向こう / 線路こっち
川向こう / 川こっち
自分自身をどのグループにカテゴライズするのか、という性質は2歳くらいから始まっているそうだ
その状況で サリエント なカテゴリーに自分を当てはめる サリエント
salient
adjective
the salient points or features of something are the most important or most noticeable parts of it
何かの顕著な点または特徴は、その最も重要な部分または最も目立つ部分
これが何を意味するのかというと
2つのグループに特段意味がある必要はなく、2つに分けさえすれば、あとは勝手にこの2つのグループは差別化が進むということだ
差異があるから分類されるのではななく、分類されるから差異が発生する
男性と女性の差においても、実は生物学的な差異よりも、このような差異が大きく働いている
「人と行為を固定的に結ぶ文言をなるべく回避し」「語彙を少しずつほぐし、ずらしていくこと」にはそういう分断を解きほぐす意味がある
言葉はラベルになってあるものを2つにに分ける
Aである / Aではない
そこに分断が生まれる
言葉にはそういう力がある
軸をずらしていくこと
ノーラン・チャートの例
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例えが悪いかもしれないけど、実際には誰もがこのチャート平面のどこかにいる