clusterとPM
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さて、この12/1で入社から丸5年になる。clusterというプロダクトで PM役をやりはじめてからは4年ほど。今日はclusterにとっての PM職を振り返りたい。
clusterとPM
現在 PM職は10名。1プロダクトの事業会社にしては多めの人数と言えると思う。この人数には理由がある。
clusterというプロダクトは「人類の想像力を加速する」というミッションに対して、「身体性を含めたオンライン体験」の場をユーザーの皆さんに提供している。2021年のブーム以降は「メタバース」ジャンルの参加者として語られることも多いプロダクトだけれども、この単語が説明していることはとても少ない。多人数参加型の社会空間くらいが共通認識だろうか。クラスターとしてもユーザーの皆さんや社会に対して端的に価値を伝える単語の創出には苦心してきたが、コアに考えているのはこの「身体性のオンライン化」という価値だと私は考えている。2016年にVR技術から会社とプロダクトを立ち上げたとき、自然と取り込まれた価値であり、ここを外して考えることはできない。
cluster のシステム
この場を通してユーザーの皆さんに「創造力」を発揮してもらうために、 clusterはさまざまなシステムを備えている。UGCという性質上、実際にクリエイターの皆さんが産み出している価値はより多岐にわたるものだけれども、プロダクトとして提供しているシステムとしては、大きく下記のようになっている。
コンテンツを表現するシステム
空間のコンテンツ
イベント
ワールド
スペース
アイテムのコンテンツ
クラフトアイテム
アクセサリーアイテム
コンテンツを創るシステム
Cluster Creator Kit
空間をデザインするシステム
ワールドクラフト
スクリプト機能
また、これらから生成されたコンテンツを、空間で遊ぶ人に向けて使えるようにするために、以下のようなシステムが必要になる。
コンテンツを探索するシステム
トップページや検索機能、カテゴリなど
ソーシャルを表現するシステム
ユーザー
プロフィール
フレンド
メッセージ
clusterを説明するシステム
オンボーディング用空間
ロビー
ホーム
最後に、これらのシステムそのものを駆動させるためのシステムも必要になる。ざっくりまとめてしまうが下記のようなもの。
システムを駆動させるためのシステム
アカウント管理
報告機能
通知
権限管理
clusterのPMは、これらのシステムを統括して一つのプロダクトにしつつ、それぞれのシステムが滑らかにまわるように管理していかなければならない。
冒頭の10名いる理由の一つがこの幅の広さにある。実際にはこれらのシステムを mobile/desktop/vr の3方向へ実装する必要もあり、考えるべきことはかなり多い。スタートアップとしては選択と集中が基本戦略とはいえ、実現したい空間のためにこれだけのものが必要だと考えている。
PMチームの歴史
clusterのPMチームの歴史でいうと、2021年秋ごろまでは私ひとりが社長とタッグを組んでこれらの領域を広くみていた。当時はこの構造にまだなっていなかった部分はあるし、開発チームの規模も今よりは小さく、必然的に領域を集中せざるを得なかったこともあって成立していた。とはいえ、エンジニア側にもプロジェクトの進行をかなりの範囲でもってもらう(Epic Ownerがその象徴)ことでようやく成り立っていた、という所だ。
またこの当時はプロダクト以外にも、ハロークラスターやGAMEJAM、大加速祭など、clusterの楽しみ方を広げて伝えるための取り組みをはじめた時期でもあった。今はこれらの機構はマーケティングチームに移管して担当してもらっている。
2021年の年末にかけ2名のPMを採用し、当時の注力領域だった「創るハードルを下げる」ためのコア機能、ワールドクラフトとアバターメイカーを担当して見てもらうことができるようになった。
また2022年にはさらに3名が参加し、clusterのワールド内の体験品質(移動モーションやカメラ撮影、音声など)や、clusterを「わかる」ようにするためのシステム(オンボーディングなど)、さらに海外展開に向けた国際化などの領域を担当してもらった。
今年2023年には4名が参戦し、clusterの空間創造を支えるスクリプト機能やClusterCreatorKit、エンタープライズ事業とのコミュニケーション、はじめて来た人がコンテンツに出会えるようにするためのシステム、そしてclusterのブランドデザインなどを担当してもらうことができた。
こうしてそれぞれのPMに領域を引き渡していくことで、より広いカバー範囲を深く見ることができるような体制は整ってきた。一方で人数が増えるにつれ、領域間が独立しすぎ、チームとしてPM同士での横断的なコミュニケーションが減っている課題もあった。2023年下半期には、 PMチーム内でチームの行動指針をさだめ、課題を洗い出すなど、PMチームにフォーカスしたアクションをとることができた。チーム内からも体制改善のための提案が色々とあり、直近では担当領域が近いPM同士が組んで中長期の課題に取り組む体制にトライしている。
PMとこれから
clusterのシステムと、それを支えるPMチームの拡張を振り返った。今後より大きくプロダクトを成長させるためには、改めてユーザーの皆さんの「創造力」を加速させることを追いかける必要があると考えている。身体性をオンラインに持ち込めることが人類の創造力を加速させる。このコアな価値についてはこれまでもユーザーの皆さんが証明してきたと思う。一方で、その営みにトライしやすくしたり、トライした人を讃える仕組みはまだまだ整備が不十分だ。 UGCのサービスにとって、より多くを占めるコンテンツを消費する人(クリエイターを兼ねる人も多いと思うが、敢えてこう書く)を含めた市場としての規模を大きくしようと思ったら、直接それを産もうとするのではなくて、あくまでコンテンツを産み出す人を支援することにフォーカスするべきだ。我々はプラットフォームであって、自分たちがコンテンツという価値を産み出すことはできない。clusterを通して人類の進化を加速させられるのは、この場で遊び、表現する人たちだ。clusterのPMはこのことを人一倍深く胸に刻んで、人類の一歩先に旗を立てるようなチームでありたいと思う。
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