『生きる勇気』(ティリッヒ)
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1995/6/12
パウルティリッヒ 著
Paul Tillich 原名
大木英夫 翻訳
欧米を代表する神学者が、西欧哲学史の深い理解に支えられた独自の哲学的神学に基づき、現代人が抱える不安や苦悩、絶望を克服するための真の「勇気」を示す。解説=近藤勝彦
個人的新出語
ツァラトゥストラ
神秘主義
新ストア主義
目次
第1章 存在と勇気
勇気という概念は存在論的性格と倫理的なそれとが膠着した性質を持つ
勇気とは自己肯定として存在論的概念
勇気によって自己肯定に反逆する諸要素に抗するのは倫理的行為
1. 勇気と勇敢
貴族武装階級に帰される軍人的な勇気は階級の伝統が崩壊した際に勇気それ単独で普遍的な概念となった
e.g. ソクラテスの死は人間としての勇気で軍人的なものではない
2. 勇気と知恵
3. 勇気と自己肯定
4. 勇気と生
第2章 存在と無と不安
不安とは存在が無でありうる可能性を自覚している状態
無(non-being, Nichtesein = 非存在)とは、それが否定するところの存在に依存している。
ラディカルな懐疑は人を自殺へと至らしめるが、そのこと自体が存在の範囲で存在からくる問題を克服できないことを示している
それに気付くので自殺の試みは断念される
出口なし
1. 不安の存在論
2. 不安の類型
死
運命と死が相対的な偶然と絶対的な偶然という観点で一緒くたなのがおもしろい
無意味
断罪
カルヴァンの言ってることと関係ありそう
3. 不安と時代
第3章 病的不安と生命力と勇気
1. 病的不安の本質
2. 不安と宗教と医学
3. 生命力と勇気
第4章 勇気と参与―全体の部分として生きる勇気
集団の一部として自己を肯定する
1. 存在と個別化と参与
2. 全体の部分として生きる勇気の集団主義的および半集団主義的現象形態
3. 全体の部分として生きる勇気の新しい集団主義的現象形態
4. 全体の部分として生きる勇気の民主主義的現象形態
アメリカ社会における生産活動によって作り出されたさまざまな手段はみごとなものだが、それら諸手段のめざす目的は何か。......
こういった問いを問う。しかし、存在の力とその意義が生産的行為それ自体のなかに現前するということが、それに対して部分的に答えることになっている。
p165~
「生産的過程への参与における勇気」
近代的な不滅とは、生産的過程への永久の参与。これは神的存在なしに成立しうる勇気である。
第5章 勇気と個人化―個人として生きる勇気
1. 近代個人主義の隆盛と個人として生きる勇気
2. 個人として生きる勇気のロマンティークおよび自然主義における形態
3. 個人として生きる勇気の実存主義的諸形態
4. 現代の実存主義と絶望する勇気
創造的人間は「絶望した」ということによって存在する勇気を発揮する
小説、劇、絵画etc
カフカ、カミュ、オーデン、サルトル、アーサー・ミラー、テネシー・ウィリアムズ
創造的でない人はシニシズムとしてすべてを否定することで絶望を表現する
第6章 勇気と超越―肯定されている自己を肯定する勇気
1. 生きる勇気の源泉としての存在それ自体の力
2. 存在それ自体を開く鍵としての生きる勇気
信仰(ティリッヒ)
生きる勇気を与えるものらしい
難解!
「(受けれられるに値しない自分が)受け入れられていることを受け入れる」
Accept Acceptance
原題 『The Courage to Be』1953
米ソ冷戦時の不安を背景とした著作で、無意味を抱えながらもそれを受け入れて生きる勇気を主題とする
出版と同時にベストセラーになった
『組織神学』(全三巻)の第一巻と同時期に書かれ、内容的にも補いあうものになっている
from 2025-09-08
『生きる勇気』
xしているところのy
用言の叙述を受け、「ところの」の形で体言へ続ける。「所」が古代中国語で受身の意で用いられるのを直訳した表現として使用され、近代ではヨーロッパ語の関係代名詞の翻訳語としても使われて、多用されるようになった。
日国精選
使役の「しめる」も頻出するが、単に使役のmadeやhaveを逐語訳しているのだろうか