認知的不協和
アメリカの心理学者、レオン・フェスティンガーの「認知的不協和理論」によって提唱された。
認知的不協和とは、自分の思考や行動に矛盾があるときに生じる不快感やストレスのこと
人は認知的不協和の状態に陥ったとき、不快感やストレスを軽減させるために認知や行動を変化させる。
自分の思考と行動が一致しないとき
自分のなかに矛盾があるのは気持ち良い状態ではない
「つじつま合わせ」や「言い訳」「自己正当化」をする
甘いレモン:価値の付与
「本当は甘い果物を食べたかったけど、レモンしか手に入らなかった」としましょう。これは、認知的不協和の状態です。このとき、「これは甘いレモンだ」と思い込むことで、認知的不協和は解消されます。この方法は、認知的不協和を解消するためにレモンに新しい価値を付与していると言えます。
すっぱいブドウ:脱価値化
イソップ童話に、「キツネが木の上に美味しそうなブドウを見つけて取ろうとするけど、高い場所にあるので取れない」というシーンがあります。これは、認知的不協和の状態です。
このとき、キツネは「あれはすっぱいブドウに違いない」と認知を変えることで認知的不協和を解消します。この方法は、認知的不協和を解消するためにブドウを脱価値化していると言えます。
認知的不協和が起こる理由
「こうありたい、こうあるべき」といった前提となる認識
現実とのギャップ
フェススティンガーの実験
学生に単調な作業をおこなわせて報酬を支払う(高い報酬を支払うAグループと少ない報酬を支払うBグループに分ける)。
次に同じ作業をする学生に、その作業の楽しさを伝えさせる。
この実験では、「単調でつまらない作業」という認知と、「作業の楽しさを伝える」という行動に矛盾(認知的不協和)が生じます。実験の結果、報酬が少なかったBグループの学生は、報酬が高かったAグループの学生よりも作業の楽しさを一生懸命に伝えました。
つまり、Bグループの学生は、割に合わない報酬なのに楽しさを伝えなければいけないことから大きな認知的不協和を抱えたため、それを解消するために「本当は楽しかったのかもしれない」と楽しさを見出し、認知に修正を加えたわけです。
一方で、十分な報酬を得ていたAグループの学生はそれほど大きな認知的不協和を抱えなかったため、Bグループの学生のように作業に楽しさを見出そうとする心理は働かなかったと考察しています。