批判的思考力の国際比較
経済協力開発機構(OECD)が、48カ国・地域の小中学校段階の教員を対象に行った『国際教員指導環境調査2018』(TALIS 2018)の中には、日本の教育についてクスリとも笑えないシビアな現実が指摘されている。
48ヵ国の教員たちが実践している指導の中で、「批判的に考える必要がある課題を与える」という項目がある。批判といっても、クレーマーのように無理筋のイチャモンをつけるのではない。目の前に提示された話をハイハイと鵜呑みにするのではなく、客観的事実に基づいてゼロベースで論理的に考える力をつける、という立派な教育だ。
このような指導をしていると回答した教員の割合は、やはりというか欧米豪が高い傾向があり、アメリカは78.9%、カナダ(アルバータ)は76%、イギリス(イングランド)は67.5%、オーストラリアは69.5%となっている。
ただ、他の国もそれほど低いというわけではなく、アジアではシンガポール54.1%、台湾48.8%、韓国44.8%。イデオロギー的に国民の体制批判に敏感な中国(上海)でさえ53.3%、ロシアも59.7%なっており、48カ国の平均でみると61%だった。
このOECD調査から浮かび上がるのは、子どもたちに対して、「なんでもかんでも言われたことを鵜呑みにするのではなく、自分の頭で論理的に考えてみなさい」と教育するのは、社会や文化に関係のない「世界の常識」ということだ。
この常識に頑なに背を向けて、我が道をつき進む国が1つだけある。そう、我らが日本だ。先ほどの調査で47の国・地域が40〜87%の範囲におさまっている中で、なんと日本だけが12.6%と、ドン引きするほどダントツに低いのである。
参照:
「うがい薬買い占め」で露呈する、日本の学校教育の致命的欠陥 | 情報戦の裏側 | ダイヤモンド・オンライン
論争からさっさと降りる術を身につける|怒らない力ーーマレーシアで教わったこと|野本響子|cakes(ケイクス)
https://gyazo.com/b2c820afa20cfbd51214360fc27082e9
https://gyazo.com/44f30bfb93d95c48a71a4e88f018a5b7
批判的思考力の定義
第 1 に、証拠に基づく論理的で偏りのない思考である。第 2 に、自分の思考過程を意識的に吟味する省察的(リフレクティブ)で熟慮的思考である。そして、第 3 に、より良い思考を行うために目標や文脈に応じて実行される目標指向的な思考である。
https://psych.or.jp/wp-content/uploads/old/61-5-8.pdf
つまりは教師に対する自己評価として「生徒の批判的思考を促す」授業を出来ているかという問いになるかと考えます。他の外国は分かりませんが、正直日本の教師に対する「~が出来てるか」系の自己評価で高い値が出るかというとあまり期待できないという先入観がどうしてもぬぐえない。実際にこの問31に対する日本の「かなりできている」「非常によくできている」の回答率は軒並み低いと言えます。
全13問全てで日本が最下位です。これからわかることはむしろ日本の教師の自己評価、TALIS上では「自己効力感」が著しく低いことであって日本で批判的思考を育む教育の問題点のデータとして語るには少々向いていない気がします。
参照:OECDのデータで「批判的思考」を日本が育んでいないというのはちょっと微妙に思える - 電脳塵芥