ビルディング20
マサチューセッツ工科大学(MIT)にかつて存在した研究棟"Building 20"
第二次世界大戦中に急仕上げで造られた「仮の」施設だったが、1998年まで使い続けられた
建物自体は突貫工事で設計思想なども抜きに造られたもので、複雑で非効率的な造りとなっており、かつ居住した研究者たちはそれぞれのメインストリームにおける異端者ばかり。彼らは建物を自分たちの思い通りに「勝手に」改造していった。MIT側も誰もそれを咎めなかった、というより関心がなかった。
建物で誰かに会いに行こうと思えば、複雑な道を探索しながら進まなければならないし、その途中でそれまで知らなかった驚きの研究者の成果物、それは研究対象だけでなく研究室そのものであるかもしれないが、を目の当たりにすることになる。研究者は個別の専門分野の垣根を超え、好奇心で繋がり、そこからインスピレーションが生まれ、面白い、新しい、思いもしなかったもののタマゴが世の中に登場することになる。
成果
ノーム・チョムスキー:現代言語学と生成文法
アマール・ボース教授:スピーカーに関する初期の研究
BOSEボーズ社の設立
レイナー・ヴァイス教授:
宇宙のマイクロ波背景放射を測定するための気球で持ち上げられたパッケージ、および宇宙背景探査機(COBE) 衛星の FIRAS 機器とその分析
LIGO重力波アンテナ プロジェクト
検出器のプロトタイプが構築された
重力波アンテナ
世界初の原子時計
ハイスピード撮影
MITは廃墟の中で多くの偉大な研究成果を世に出した - Building 20が創り出したカオス -|寺村英雄@株式会社グルー|note