スポーツにおけるイノベーション
イギリスのスポーツジャーナリスト、ティム・ウィグモアによれば、 スポーツ界における技術的イノベーションの多くは、 本質的に融合の賜物だという。 インドのクリケット選手は、テニスからヒントを得て、 バックハンドのスウィープショット(バッティング方法の1つ)を生み出した。 また、テニス選手のノバク・ジョコビッチが両足を大きく開いて返球する、有名な「スライディング」 は、 趣味のスキーを参考にしたという。 ほかにアメリカの走り高跳び選手、ディック・フォスベリーの背面跳び、 中国の卓球選手、 丁寧(テイ・ネイ)のトマホークサーブ (しゃがみ込みサーブ) なども同様だ。
学問的知識だけで見れば最高(集団)とは言えなかったかもしれないが、創造性の高さならずば抜けていた。 みな人の話をよく聞いて、好奇心旺盛で、探求心にも溢れていた。(中略)誰もが自由に意見を出せる、適切な環境に人々を集めることができれば、驚くような結果を出せる。実際、 さまざまな融合のイノベーションが生まれた。たとえばボブスレーのスピード改善には、F1の最先端技術を活用した。 スケルトン(小型のソリで滑走する競技)には宇宙航空技術を用いた結果、エイミー・ウィリアムズがバンクーバー五輪で金メダルを獲得。(中略) 水泳選手には各種センサーを取り付けて完璧なクイックターンを追求した。(中略)自転車競技の選手には、レースの合間に筋肉が冷えないよう「ホットパンツ」を着用させた。カヌー競技ではスプレースカート(座席部分の開口部をカバーする布) に最新の撥水コーティングを施し、その結果エド・マッキーバーがロンドン五輪で金メダルを獲得した