クロスモダリティ
複数の感覚器官から入ってくる情報がボトムアップ処理をされる一方、脳の中にある情報と統合されてトップダウン処理で判断される際に、視覚からの情報が他の感覚器官からの情報よりも優位に働く結果、実際とは異なる判断をしてしまうこと 例:ミルクティーを飲んだ場合
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クロスモーダル効果については、いくつもの実験事例がある。たとえば、フランスでお酒の専門家を養成する大学の学生を対象に行われた実験も、その一つである。
被験者はソムリエの卵であり、ワインのテイスティング能力は訓練されている。彼らに赤ワインを飲ませれば、「ブラックベリーのような香り」「なめらかなタンニンを感じる」など、テイスティングで使われる表現が多く出現する。また白ワインを飲ませれば、当然、白ワインのテイスティングで使用される表現が多く出現する。 これを確認したうえで、もう一度、同じワインでテイスティングの実験を行なう。ただし、今度は白ワインに赤い着色料を混ぜ、見た目は赤ワインと区別がつかないようにする。すると、赤ワインに見える白ワインの味を評価するときに、赤ワインのテイスティングで使用される表現が多く出現した。[注1]
もう一つ、ワインを使った実験で興味深いものがある。ワインの中身は同じだが、ボトルのラベルと値段を変えて美味しさを評価させる実験だ。
この実験によると、同じ値段であると聞かされているときには、どちらのワインの美味しさも同程度に感じるが、片方のワインの値段のほうが高いと聞かされてテイスティングすると、高いワインのほうが美味しいと答える率が高くなるという。これも脳の中にあるワインに関する情報が、トップダウン処理の際に、味というボトムアップで脳に上がってきた情報よりも優位に働いた結果である。[注2]
こうしたクロスモーダル効果は無意識に起こるため、実際の場面ではまったく自覚できない。だが、意思決定には非常に大きな影響を与えるため、飲料・食品系企業をはじめ、さまざまな企業や研究機関がこの分野の研究を行っている。
[注1]Morrot, G., Brochet, F.& Dubourdieu, D., “The Color of odors,” Brain and Language, 2001, 79, 309-320.
[注2]Plassmann, H., & O’Doherty, J.,”Marketing actions canmodulate neural representations of experienced pleasantness,” PNAS, 2008.