この法1の授業の復習はどのようにすればよいか
Q
この講義への理解を深めるためには、どのようなところに注目して講義の復習をしていけばよいかご教示いただけないでしょうか。この講義を受けるなかで、自分が学びたい法学分野を見つけたいと思っています。
shiraishi.icon2020-06-02
この授業では、具体的な素材を使って、広く法学のどこにでも当てはまる枠組みやきっかけを、得ていただきたいと考えています。
具体的な素材は、あくまで素材に過ぎないのであって、目標ではありません。例えば、公取委の具体的な仕事を覚えてもらいたいのではなく、これをきっかけに行政一般を理解する枠組みを、大雑把にでも、各自で得ていただきたいと考えています。廃棄物処理法における不要物の概念を覚えていただきたいのではなく、これをきっかけに、法令の構造と解釈の仕方を身に付けていただきたいと考えています。公務員の政治活動に関する憲法判断を覚えていただきたいのではなく、皆が「判例」と呼んでいるものは実はどのようなものであると、最高裁裁判官経験者でもある熟練の思索者が述べているのかに、接していただきたいと考えています。
「xxxいただきたいのではなく」の「xxx」の方向でなく、授業で紹介した「例」をきっかけとして、一般的な枠組みを体得できるよう、また、各自が関心を持つものにいつか出会うことができるよう、様々なものを読み、各自で理解を深める経験をしていただきたい。これに尽きます。(もちろん、たまたま「xxx」に関心を持ったので、「xxx」に詳しくなった、という方が出てくることも、あり得るであろうとは思います。)
比喩を言えば、ご自分が面白いなと思った分野に少し入ってみる最初の1〜2歩を助ける武器を、例を使ってご紹介しているつもりですし、また、それ以上はできない、と考えています。
したがって、この授業について誰にでも当てはまる「復習」があるとすれば、紹介した例に示された枠組みを少しばかり反芻して、そのあとは、ご自分が面白いと思ったものを読み・調べる際の参考にしていただきたい。どのような人にも、ふと、面白いと思って暫く時間を忘れて調べてしまう、というものがあるのではないかと思います。そのようなことに取り組むなかで、授業で出てきた「例」が示す「枠組み」が役に立てば、私としては幸甚です。
そういう取組を地道に繰り返したならば、かりに、数か月ではまだ面白い分野を見つけることができなかったとしても、法的な文章を読み、書く力は、伸びているはずだと考えています。
なお、もし、具体的な法学分野のそれぞれの入口を案内したものを読みたいということであれば、〔新版〕法学の世界をお薦めします。比較的若い世代の研究者がそれぞれの専門分野を紹介しています。 これを書く過程で、次のようなものを見つけました。ご参考に。
「学ぶ楽しみ、知る喜び」