興津征雄「法学の出発点としての条文」法学教室451号(2018年)
条文の探し方、読み方、解釈の仕方、を順を追って解説。
日本の民法・刑法・憲法の特徴(16〜17頁)
興津征雄「法学の出発点としての条文」法学教室451号(2018年)16〜17頁
「日本の民法・刑法・憲法は、個々の条文の文言が簡素であり、条文数も諸外国のものに比べると少ないために、条文の意味を補充したり、ときには条文にない事柄(法の欠缺)を埋めたりという作業が、解釈論の役割として期待されてきた〔脚注省略〕。しかし、日本の法令の多くは、本稿で取り上げた廃棄物処理法のように、きちんとした定義規定をもち、委任立法によってさらに詳細な定めが設けられ、条文を文言どおりに読んでいけばその意味はかなりのところまで確定できるようになっている。別の言い方をすれば、民法・刑法・憲法は、条文解釈としては応用編であり、法律学習の最初に接するにはハードルが高い法分野かもしれないのである。」
なお、
「欠缺」は「けんけつ」と読み、欠けていること、欠けている部分、という意味である。
「委任立法」とは、法律が委任したことによって制定される政令のようなものを指す(ここでは、内閣が政令を制定することを、広い意味で「立法」と呼んでいる)。
「文言」は「もんごん」と読み、言葉とか用語といった意味である。