「後法が前法に優先する」について
Q
「後法が前法に優先する」という格言が存在するようですが。
A
「後法が前法に優先する」という格言は、覚えなくていいです。私の経験では、これが使われることは実際にはあまりありません(私の狭い経験ではほぼ全くありません)。法律を作る場合は、閣法の場合は内閣法制局、議員立法の場合は衆議院法制局や参議院法制局がチェックするので、明らかな矛盾は少ないです。人間のすることですから見落としはあり得ますが、もし矛盾があったとしても、具体的な文脈に応じて解釈がされます。具体的な文脈に応じた解釈の結果として、こちらのほうが後から作られたから優先、という結果となる場合も、あり得ると思います。しかしそれは、法格言によってそうなるというよりは、あくまでその文脈によって、そうなるのです。「後法が前法に優先する」は、ローマ法の昔から言われてきたから何となく法学入門の教科書等に書き継がれているだけだと考えていただいていいと思います。