映画レビュー:M3GAN

注意

本記事はジェラード・ジョンストーン監督の映画「M3GAN」の内容に触れています。映画を観る楽しみがなくならないように配慮はしますが、初見での観賞に不都合が生じる可能性があります。その点に留意しながらお読み下さい。

https://dx35vtwkllhj9.cloudfront.net/universalstudios/megan/images/regions/us/onesheet.jpg

発端

暇じゃ。暇なので映画でも観に行こう！！

...

ﾊｲ、上映期間が過ぎてました。でも、ホラーが観たい...

紹介

ストーリーはあらすじでどうぞ。総評としてはビックリ系やゴア・グロ系の要素は少なくスリラーやホラー入門には丁度いい映画だと思えた。

特にM3GANが作られた後のプレゼンやM3GANへの技術的なアプローチが個人的には印象深かった。

また、M3GANの動きが凄く自然で、CGなのか、それとも別の技術なのか判断が付かなかった。(実際にはロボット風の動きを強めの時は実物の人形を使い、滑らかな動きの時はマスクを装着した演者でした。)

あらすじ

玩具メーカーで研究者として働くジェマは、子どもにとっては最高の友達、親にとっては最大の協力者となるようプログラムされた「M3GAN（ミーガン）」という人間のようなAI人形の開発に携わっている。

ビックリポイント

本作はスリラー映画なのでそもそものビックリ要素も控えめだが、ビックリするポイントがBGMも含めストーリー的にもわかりやすいのでそこまでビックリはしなかった。

ただ、序盤のM3GANの面影くらいしか出てきてない頃に主人公の隣の家の犬が飛び出してくるシーンが不意のビックリだったので普通に驚いた。(身体がビクッとした)

M3GANの異常

「最初は普通だったロボットが次第におかしくなっていく」というのはスリラーやホラーではお馴染みだと思うが、個人的にはM3GANに関しては最初から異常に観ていた。

M3GANが登場するプレゼンのシーンで彼女は主人公を騙す形で喜ばしている。私はこのシーンに狼狽えた。何故なら、M3GANは誕生したばかりであり、学習が初期段階にも関わらずに「子供を喜ばすには正攻法で遊ぶのではなく、落胆させてからのサプライズが効く」と判断したのだ。トライ&エラーで挑むのではなくクリティカルな解答を見つけ出すというのをコミュニケーションで行うのは人間でも難しい。特に「悲しみを消したい」や「楽しくなりたい」という曖昧で正解がないような要望に応える姿に私は恐怖を覚えた。

個人的には鏡などでM3GANが自身を認識するシーンが欲しかった。

お前の学習アルゴリズムゴミすぎぃ

作中のシリアスシーンではあったのだが、M3GANが「おそまつな学習装置をつける投げやりなやり方」と自身の開発者を糾弾するシーンがあった。一般的にはM3GANが創造主である開発者の想定を完全に逸脱した恐怖のシーンなのだが、自分が作ったAIに「お前のプログラムクソじゃね」って言われていると想像したら笑ってしまった。

2.0への期待

本作はM3GANの誕生から暴走を経ての破壊を描く以上、どうしても尺の問題があるのかもしれない。個人的にはM3GANが終盤で主人公の女の子に対して敵意を表したのが意外であり、「主人公をあらゆるものから守る」という命令に反していた。命令遂行のために手段を選ばない暴走であった筈だが、最期には命令関係なくただの暴虐と化していたので、M3GANの暴走にはもう少し別の理由があるのではないかと期待している。

次にこれは個人的な嗜好で大変、申し訳ないのだが、もう少しKill数を稼いでもらいたい。ただ殺し方が単純な絞殺や持参の謎ナイフとかでなく、その場にあるものを活用する手法に美徳を感じたので、2.0でのパフォーマンスが楽しみだ。

総評

普通に面白かった。

スリラー映画だが、過激な描写はないように感じたのでホラーやビックリ系が苦手な人でも楽しめるように思える(序盤の犬だけは気をつけて)。

本作でM3GANの造形は不気味なように映るが、動いている姿を観ると愛らしさを覚え、正直な所では不気味に感じなくなっていたので、観てみることをオススメする。