18-12-16 未来環境ラボについて
未来環境ラボについて、通常よりも踏み込んだ説明を試しに試行して試みてみる文書です。
即戦力としての人材輩出を期待される専門学校においては、社会人の視点を垣間見るのもよい経験となるでしょう。
ラボを運営するうえで秘匿することもほとんどないため(?)、いろいろ書いていこうと思います。
未来環境ラボの概要
まず、未来環境ラボの特徴を列挙します。
KCGグループと日本ユニシスの間に金銭契約はない
日本ユニシス社員は教員ではない
公式の授業は担当しない
基本レベルを指導する義務はない
学生がラボに関わる唯一の条件はものづくりをすること
何かを制作しようとする学生に対して指導または共同作業をする
例:Imagine Cup 出場のための制作指導
例:Maker Faire 向けに共同制作
両組織のトップからは、スケールの大きい成果を期待されている
例:Imagine Cup に出場し、メディアの取材を受ける
例:新しい発見をして論文や作品を発表する
他の組織でありがちな施策は優先度を下げる
前例はない (つもり)
最もイメージに近いのは、暦本研究室、落合研究室など
ただし大学4年生以上が中心なので、単純な比較はできない
ゼミは学生の制作が主体
外部の学生も受け入れている
未来環境ラボという名称について
おそらく発端は、2013年より坂本が社内で研究テーマとして掲げている「未来環境の創造と実現」という名称です。
なんとこれが2016年に所属する室の名称「未来環境室」に使われ、さらにKCGと共同運営する研究室の名称にも使われることになりました。対外的にこの名称を使用することには若干抵抗がありましたが、とくに対案も浮かばなかったためそのままにしました。単純に「坂本研究室」でもよかったのですが、共同運営でもあるため、独立した組織名を設けることとしました。
この命名に関しては長所と短所があるため説明していきます。
組織名では個人らしさを消す傾向があり、また制作物がなければ目標は抽象的なものとなり、実体の伴わない名称になりがちです。それに加えて研究の世界やハッカー文化では主に、三人称として人名や制作物 (○○の人) を連想するものであり、抽象的な組織名が挙げられる・覚えられることはまずないでしょう。
今年のマネージャーは個人活動を重視しており、あまり会社のことは考えなくてよいと言われています。
無理に会社の宣伝をする必要がなく、だいぶ動きやすくなっています。
しかし逆に、コンセプトを重視する欧米系の人たちには組織の名称を示せば概要が瞬時に伝わるという効果があります。この点は多くの日本人の感覚とは異なるかもしれません。海外でも抽象的な名称は少なくありません。
「未来環境対策本部」のように、あえて長い名称で逆手に取るのがアンチテーゼとして面白いかなと考えてはいます。
学生との接点
今年はラボを訪れてくれる学生がかなり多く、既に坂本が対応できる時間の限界を迎えようとしています。
現状はほとんどが学生からの質問への対応ですが、今後は制作指導に絞るなど、会話の質を上げていく必要があるでしょう。
社会人の人件費は1時間あたり5,000~10,000円かかるというのが通常の経済感覚だろうと思います。
未来環境ラボに関わる学生が0人ではよくありませんが、だからといって100人や1000人というわけにはいきません。
相乗効果を生むための最適な人数はその間のどこかにあります。
これは、ひつじのメンバーが100人や1000人となることに現実的な意味があるか、という問題と同様です。
上で、
例:Imagine Cup 出場のための制作指導
例:Maker Faire 向けに共同制作
という例を挙げましたが、これらはかなり私のイメージに近い具体例です。
なお、京都の大きめのイベントとしては、A学系なら京まふ (9月)、D学系ならBitSummit (6月)、E学系ならNT京都 (3月)、Maker Faire Kyoto (5月) などがあるのに対して、B・C学系向けの固定イベントが見当たりません。強いて言うならオープンソースカンファレンス京都 (8月) でしょうか。
ハッカソンのような短期的なイベントではなかなか制作指導ができないため、地元開催に限らずコンテストへの出場を考えてみてはいかがでしょう。学生自身のポートフォリオ形成およびキャリアアップのためにラボを活用してほしいと考えています。
動画などを公開して有名になりたければそういうのでもよいです。
学生たちから見れば、「未来環境ラボ専用の活動」が追加されるのではなく、普段の活動に「未来環境ラボの視点」が追加される、というのが理想です。
未来環境ラボとひつじ
ラボに関わる唯一の条件はものづくりをすること
と書きましたが、ひつじでは毎月各自でテーマを決めてものづくりに取り組んでおり、普段からこの条件を満たしているため、メンバーの制作や発表に対してコメントすることには価値があると考えています。
この「ものづくりをすること」という条件は非常に強力で、それだけのマインドとスキルを持つ学生はどんなに多くても学年に20人程度だろう、と個人的には見積もっています。
ラボ (および会社) としては、ポテンシャルの高い人材に投資するということです。