行動データ
オンラインがオフラインに浸透し、もともとオフライン行動だった生活が次々とオンラインデータ化し、かつ、個人のIDにひも付けられ、膨大かつ高頻度に生まれる行動データが利活用可能になるということです。そう捉えると、今の日本もだんだんとそうなっている
鍵は「行動データ」です。行動データによって顧客理解の解像度が上がり、付加価値を高めることができようになるのです。前著で示したアリババのジーマクレジット(芝麻信用)は、行動データの活用によって新たなサービスや価値を提供した好例です。アフターデジタル社会とは、「行動データを利活用できないプレイヤーは負けていく時代」なのです。
行動データが取れると、「最適なタイミングに、最適なコンテンツを、最適なコミュニケーション方法で提供できる」 ようになります。
属性データの時代は「人」単位で大雑把に捉えていましたが、 行動データの時代では、人を「状況」単位で捉えることができる ようになり、人間の自己認識や社会における人の在り方にこれまで以上に近づくことができるわけです。
クレイトン・クリステンセン氏のジョブ理論と通ずるもので、モバイル、IoT、センシングなどの技術革新によって、こうした理論が適用しやすくなり、親和性が高くなったと考えるのが正しいでしょう。これを本書では、 属性ターゲティングに対する新たな概念として、「状況ターゲティング」 と呼んでいます。 最適なタイミング、コンテンツ、コミュニケーションを捉えて価値提供するには、ユーザーの置かれた状況(ペインポイントや成したい自己実現)を把握してそれに対する解決策や便益を提供し、ユーザーと定常的な接点をなるべく高頻度に持つ必要があります。これは 商品販売型のビジネスでは実現が難しく、「体験提供型ビジネス」に優位性が移行していく ことを示しています。