自己触媒
自己触媒の一例として、ポリマー化反応があります。例えば、特定の条件下でのアクリル酸の重合反応では、生成されたポリアクリル酸の鎖がさらにアクリル酸のモノマーと反応し、高分子の成長を促進することが知られています。このように、反応の初期段階で生成された産物がさらに反応を進行させる役割を果たす場合、その産物を自己触媒と呼ぶことができます。
エステルの加水分解
一部のエステルは水との反応(加水分解)において、生成されるカルボン酸がさらにエステルの加水分解を促進する役割を果たします。この場合、カルボン酸がエステルの加水分解を促進する自己触媒として働きます。
酸触媒されるアルデヒドの縮合反応
アルデヒドの縮合反応において、最初の縮合ステップで生成される酸性の中間体が、続く縮合ステップを促進します。この中間体が自己触媒的に反応を進行させます。
トリオースリン酸経路におけるギリョン酸の反応
生物のグリコリシス経路において、ギリョン酸がその後の反応ステップを促進する役割を果たします。この場合、ギリョン酸が自己触媒的に作用することで、グリコリシス経路全体の効率が向上します。
ケトンのオートオキシダーション
一部のケトンは酸素との反応において、ペルオキシドという活性な中間体を生成します。このペルオキシドがさらにケトンのオキシダーションを促進するため、自己触媒的に反応が進行します。
市場価格はなぜ、アバレるのか。それは、単純な消費量と供給量だけではなく、値段の上下に関する思惑が、売買の量に影響するからだ。ある商品(株式でもいい)の価格が上昇基調にあるとする。すると売買で利ざやを得ようとする買い手が集まってくる。そのため、ますます価格が上がっていく。他人がその株の値上がりを期待すると、自分も買うことが合理化される。このように、集中強化現象が起きるのだ。もしこれが逆に働くなら、価格は一定水準の回りを安定的に上下するだけだろう。だが、ここには原因と結果の一種のループが生じて、これが不安定性を生み出す。
このプロセスは、化学でいう一種の自己触媒反応だと言ってもいい。自己触媒反応とは、A→Bという反応があるとして、その生成物であるBが、反応自体の触媒の役目を果たすケースだ。Bができると、それが反応速度を速めるから、さらにBができる。こうして反応に加速度がついていく。フラスコ内の化学反応では、原料がなくなったり、化学平衡に達したら、系は落ち着く。だが大きな市場のように外部から供給が続く流通系では、ボラティリティは簡単にはおさまらない(ついでながらボラティリティとは元々、揮発性を意味する化学用語だ)。
恵方巻きとB2Cビジネスの混沌
p252.4 自己触媒反応集合
一般的に言って、岩に開いた窪みの中にある化学物質が反応すれば、その一部が最初の反応に対する触媒になり、その反応でできた生成物の一部がさらに次の反応の触媒になる。このようなプロセスを"自己触媒反応集合"と呼ぶ。それぞれの反応が、反応集合に含まれる別の反応の触媒を生成すると言うことだ。