科学らしさ
“科学の装い”がときに本誌で誤用され,組織的な圧制を是認するのに使われたことがある。 一部の著者は経験的証拠の名のもとに,動かしがたい真実であると見せかけることによって差別を定着させた。日経サイエンス2021年1月号「過去の偏見を検証する」
2010年代に登場したリーンスタートアップなどから始まったが、世間では「科学的」な知見や技術が、非常にもてはやされるようになった。ところが、その実態をみれば、科学っぽさを帯びているだけで、中身は科学というよりも、単に自分の経験を科学と置き換えて話していることが多い。パッと思いついたことを仮説検証といったり、気分をモチベーションと言い換えたり。そういう人を感化させるような言葉の使い方が世の中に増えている。黒をスペースブラックといったり。
率直にいえば、なにかに言及するとき「科学っぽさ」が目立つために不可欠であるため、科学っぽさを感じさせるキャッチーなキーワードを用いるが、実態は科学とは無関係な方法をっていることが非常に多い。