準結晶
https://gyazo.com/39af522a242e87d6f566e91fd0bb3304
「準結晶ダイヤモンド」を開発。中国と米/独大学が共同で
https://gyazo.com/2cedffe2d4f416593b627192fb0437b5
『準結晶』の発見 2011年ノーベル化学賞解説
準結晶(じゅんけっしょう、英: quasicrystal)とは結晶ともアモルファス(非晶質)とも異なる、第三の固体物質ともいうべき状態である。結晶を定義づける並進対称性は持たないが、原子配列に高い秩序性を有している。この研究に大きな貢献をしたダニエル・シェヒトマンに2011年のノーベル化学賞が授与された。
結晶は並進対称性を持つことから、その電子線回折等の回折像は1回、2回、3回、4回および6回のいずれかの回転対称性を示す。これに対して、準結晶の回折像は5回、8回、10回または12回対称を示す。また、準結晶の回折図形には鋭い回折スポットが現れており、アモルファスのようにランダムな構造ではなく、高い秩序度を有していることを示している。このように並進対称性(周期性)を持たないが、高い秩序性が存在する構造として、一次元におけるフィボナッチ数列や、二次元におけるペンローズ・パターン(ロジャー・ペンローズによって提唱された)が知られている。このような構造は、高次元空間の結晶構造を、その結晶構造の対称軸に平行でない低次元空間に射影することで得られる。
準結晶の金属に特有の物性として、金属としては異常に高い電気抵抗があげられる。例えば、アルミニウム、銅、鉄はいずれも良導体であるが、これらからなる準結晶Al-Cu-Feでは電気抵抗が10万倍にも達する。また、温度が低くなると抵抗が上昇する(通常の金属の示す性質と逆)、むしろ欠陥が存在する場合の方が抵抗が低い(これも通常の金属の性質と逆)などの特殊な性質を示す。準結晶のフェルミ面には「擬ギャップ」と呼ばれる状態密度の落ち込みがあり、これが特異な電気的性質の原因となっていると考えられている。擬ギャップが存在することで系全体のエネルギーを引き下げ、準結晶の構造を安定化していると考えられている。
バルクとしての準結晶(安定相)は、その非周期性のためへき開面を形成し難く、このため比較的硬くて強靭(脆くない)である。
----
5回対称性をもつ準結晶の発見は,今世紀後半の固体物理学で最も衝撃的な事件であった。現代の物質観で“あってはならないもの”だったからである。150年以上にわたって培われてきた結晶物質の基本テーゼは「周期性」であった。つまり,単位となる格子が空間をすき間なく埋め,しかも全体を並行移動できる様式でしか,結晶物質は存在しえないというものである。ここから,2,3,4,6回対称性は存在しても,5回対称はありえないことになる。
理論自体がいくら正しくても,自然は人知を超える秘密を隠していたのだった。19世紀半ばから営々と築き上げてきた物質観は,根底からくつがえされた。そのキーワードは「準周期性」だ。これは中途半端な周期という意味ではなく,「ある種の高い秩序性(たとえばフラクタル構造)をもっているのに,既存の周期性という概念に収まりきれないもの」という意味である。
準結晶はどこまで解明されたか
https://gyazo.com/def33b65d03c9fe40bc9c04b192301bb