制度
ホメホメメール
消臭芳香剤「消臭元」、レンジで焼き魚が調理できる「チンしてこんがり魚焼きパック」…。独特の商品のネーミングとともに、斬新な商品で消費者を驚かせる小林製薬。そのユニークな商品を生み出す源泉は、社員の高いモチベーションにある。そして、それをもたらしているのが、経営トップが社員に直接メールを送って、その実績をたたえる「ホメホメメール」などの評価制度だ。社員のやる気を引き出す秘訣は「信賞必“誉”」にあった。
社長から突然届く「ホメホメメール」 社員のやる気を引き出す小林製薬
18世紀のイタリア人政治哲学者ジャンバッティスタ・ヴィーコが言ったように、制度とは、多くの人が受け入れ利用する、歴史的な慣習と価値観と法律から成る社会構造にほかならない。制度と言うと、何か物理的なものを想い浮かべる人は多い17。壮大な大学キャンパス、古代の石造りの教会、議事堂。しかし制度は同時に考え方であり、制約であり、社会規範でもある。たとえば、結婚は制度だ。家族もイギリスの君主制もそうであり、宗教、所有権、その他の法的な決まりごとも同様だ。「単純に言えば、人間にとっての制度とは、蜂にとっての巣と同じである。それはわたしたちが集団として自らをまとめる構造だ」。歴史家のニーアル・ファーガソンは著書『劣化国家』にそう書いた。「そのなかにいれば、それとわかる。蜂も巣のなかにいれば、それがわかるのと同じことだ。制度には境界があり、壁がある」。言い換えれば、具体的なものであっても抽象的な概念であっても、それは社会の土台を成すルールや慣習といった価値ある積み石だ。制度はわたしたちの行動を形作り、お互いへの接し方を形作る。