分類学(taxonomy)
分類学(ぶんるいがく、英語: taxonomy)とは、生物を分類することを目的とした生物学の一分野。生物を種々の特徴によって分類し、体系的にまとめ、生物多様性を理解する。
なお、広義の分類学では無生物も含めた事物(観念も含めて)を対象とする。歴史的には博物学にその起源があり、古くは、鉱物などもその対象としたが、それらの分野は分類学という形で発展することがなかった。
生物を大きく仲間分けすることは古来普通に行われてきたことであって、普通名詞に含まれる生物の名前はすべてその過程の産物である。この場合の分類は人間の生活上の都合がよければそれでよいものである。このような分類法を人為分類という。日本語では、たとえば、獣といえばほ乳類を対象にしており、現在の分類学とほぼ一致するが、魚介類は脊索動物である魚類、軟体動物である貝、節足動物であるエビやカニまでがもそこに含まれる。しかし、魚屋で扱われる生き物というくくりとして、実用的には便利なまとめ方である。
西洋の博物学の歴史のなかでは、どのような分類が正しいのかが検討され続けた。自然の仕組みを正しく理解することへの欲求がそれを推し進め、あるいは世界を創った神の意志を推し量るためでもあったと思われる。そのようななかから、生物の分類には何か唯一の正しいものがあると考えられるようになった。たとえば、クジラは魚介類ではあるが、実際には魚類ではなくほ乳類に分類すべきだと判断するのである。それを自然分類という。ここから、分類学は自然分類を探し求めることがその目的になった。その始まりがカール・フォン・リンネであった。
なお、どのような分け方が自然分類に当たるのかは最初は当然わからないわけで、既にある分類体系を検討し、個々の生物についての知識を増し、それをもってさらに体系を再検討することを繰り返してゆくことで、いつかは正しい自然分類にたどり着くと考える。当然、その途中の段階では自然分類ではない分類法が取られることになる。それは、その時点では分類に重要と考えられた特徴に基づいて分類されたものだが、後代からはこれを特定の特徴に引きずられ、誤った判断に基づく人為分類といわれることになる。
リンネは分類学の父とも呼ばれる。彼のおこなったことは以下のようなものである。
それまでに知られていた動植物の種に関する知見をまとめ、上位分類の段階をはっきりさせた。
学名のいわゆる二名法を確立したこと。それまでは、西洋科学の進歩につれ、次第に多くの生物種について知られると、それらを既存の種の名に新たな語を追加して命名する場合が多く、複雑な名前が増え続ける状態があった。リンネの方法は、それらを見通しよく整理し、今後の新種の追加にも対応できるようにした。
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分類学とは何か