ネットワーク
複数のノード(点)とそれらを結びつけるエッジ(線)から形成される網状の構造体を表す概念である。
組織論の視点からは、ある関係のもとにある程度まで継続的に連結されたいる諸単位の集合体として、あるいは自律的な個の緩やか(ルース)に結合されたシステムを意味するものとしてとらえられている。
ネットワークを組織現象として考えると連結される個をどのように設定するかで、それは組織内現象を表すものとも組織間現象を表すものともなりうる。たとえば、組織でもなく市場でもない中間的な社会システムをネットワークとして記述することもできる。このようにネットワークという概念は、この世にある多くのものを記述するのに好都合な構造を持っている。
コンピュータをノードとし、コンピュータを連結する回線をエッジとすれば、コンピュータ・コミュニケーション・ネットワークが、形態電話をノードとし、通信回線をエッジとすればモバイル・ネットワークが定義できる。
こうした情報通信ネットワークは、第1章で述べたように、参加者が増えると、市場での金銭的交換を経ることなしに他の参加者に与える便益が増えるという効果があり、これはネットワークの外部性と呼ばれている。
ネットワーク特性をもつ組織はネットワーク組織と呼ばれるが、この特徴は、ハイアラキー組織と対比することで理解することができる。ネットワーク組織とハイアラキー組織は異なった2つのタイプというよりも、連続体上の理念的な両端をなす組織と考えることができる。
組織のネットワークは、また、ネットワークの構成要素の質的差異やその形成プロセスによって類型化することができる。構成要素が同質的か変質的か、ネットワークの形成プロセスが計画的か創発的かは、組織間のネットワーキングを考察するときに重要な分析軸となる。
table:経営情報論 ハイアラキー組織とネットワーク組織
ハイアラキー組織 ネットワーク組織
権限 中心化されたシステム 多中心システム
明確な権限の源泉 脱中心システム
個の行動・役割 制限的、固定的、定型的 自律的、自由裁量的
個と個の関係 垂直的、支配-従属関係 水平的、対等関係
個の行動の統合 タイト ルース
環境適合 同質的、安定的環境 異質的、不確実性の高い環境
経済性 効率性、規模 スピード、多様性