センターと生命、15の特性
白い紙に点を描く例でも、サブ・シンメトリーでも、全体性はある部分的な領域が重なり合ったり入れ子状になったりして構成されていた。アレグザンダーは、全体性(wholeness)を構成するこの部分的な領域のことを「全体whole」と呼んだそして、それが全体性を構成する局所的な全体であることを示すために、さらに「センターcenter」という述語を編み出した。
さて、アレグザンダーのいう全体性はセンターによって構成されていることはわかった。それでは、そのセンターは何からできているのだろうか。それはまたセンターからできているのである。全体性は重なり合う入れ子状になっているセンターによって構成されており、そのセンター自身もまた重なり合い入れ子状となっているセンターによって構成されているとアレグザンダーは考える。
ペルシャ絨毯が分かりやすいかも…。
パターン・ランゲージのようなルールの体系によってつくり出されたものではなく、またすべてが機能的な要求によって定められたものでもない。この特別な質をもたらしているのは、ある種の幾何学的な秩序であり、全体性なのであ。そして、この花の群生や誕生パーティのテーブルセッティングは生き生きとした構造を確かに持っており、人の気持ち満たし、落ち着かせるようなところがある。
機能は全体性と同様、センターに基づいている。機能は、単に全体性の動的側面にすぎないのである。(中略)なにものかが世の中で生き、行動し、交流するとき、その都度異なるセンターが現れ、また消える。あるものは移動していき、あるものは一過性のものである。この移動する一過性のセンターが絶え間なく変化することや、現れたり消えたりすることを私たちは生命と呼ぶのである。
高速道路において車はセンターであり、道路網などの交通システムもセンターである。料金所もセンターだし、休憩所もセンターである。「これらが調和し、相互に順応しているとき、そのシステムは機能的であるという」のである。すなわち「生命という考えを最も基本的なものとし、建物の生命に関するすべてのことが形(幾何学的関係)と機能(その振る舞い)を保有すると見なすのである」。
アトラクターみたいなのが分かりやすいかも…。
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15の特性は接着剤です。そして、それによって空間は統一されることできます。
1.スケールの段階制
2.力強いセンター
3.境界
4.交互反復
5.正の空間
6.良い形
7.局所的に表れるシンメトリー
8.深い相互結合と両義性
9.対比
10.段階的変容
11.粗っぽさ
12.共鳴
13.空
14.簡潔さと静謐さ
15.不可分であること
静謐 せいひつ
静かで落ち着いていること。また、世の中がおだやかに治まること
明鏡国語辞典より
出典