ジェニー紡績機
ジェニー紡績機
このほかに重要な発明として、ランカシャーの織工だったジェームズ・ハーグリーブスのジェニー紡績機が挙げられる。あるとき紡ぎ車が床に落ちても回り続け、言わば自動的に紡いでいるように見えたことからハーグリーブスはこの紡績機を思いついたと言われる。この伝説の真偽はともかく、ジェニー紡績機がきわめてシンプルな構造であることはまちがいない。四本足の上に長方形の木枠が載っており、その一方の側にスピンドル(紡錘)が並んでいる。枠の上部または下部に設置されたホイールを回してスピンドルを回転させ、糸に撚りをかけて巻き取るというしくみだ。発明されたのは一七六四年頃らしい。水力紡績機と同じく、ジェニー紡績機も科学的大発見は何も必要としない。ジェニー紡績機がすぐれているのは、労働者一人で数十本のスピンドルを同時に扱える点である。その結果、従来の紡ぎ車は駆逐されることになった。ジェニー紡績機の価格は紡ぎ車の七〇倍もしたが、それでも水力紡績機よりずっと安い。それにスペースをとらないので大規模な工場も必要なかった(13)。生産プロセスを大幅に変更しなくてよい点も、ジェニー紡績機が広く普及した一つの要因だろう。
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