コンティンジェンシープラン(緊急時対応計画)
緊急時対応計画
p197
経営者は、予期せぬ出来事に対して敏速・的確に対応出来る能力を高めることによって、予測に頼る度合いを下げることができる。
可能性にそなえて準備することをコンティンジェンシー・プランニングと呼ぶ。この計画で行うことは。予期しないで発生するとコストや手間がかかる状況や出来事を想定し、その影響を低減できるような対策を考えることである。
予期せぬ出来事は頻繁に起こるため、経営計画が計画どおり寸分違わず進むことなどありえない。そこで、コンティンジェンシー・プランで補うことが必要となる。コンティンジェンシー・プランの作成には次のことが必要である。第一に、起こった場合に正規の計画を混乱させる可能性のある出来事を明確にすること。第二に、それぞれの出来事の発生確率とそれに備えるためのコストや手間の推定。そして最後に、注意を払うべき出来事の選定とその対策を講ずることである。
経営計画を危うくする予期せぬ出来事は、顧客、取引業者、競合他社、特別な利益集団、政府など企業外の集団の予期せぬ行動の結果、引き起こされることが多い。これに対しては、仮想敵チームを使えば、外部集団の予期せぬ行動を想定し、その対策を立てる能力を高めることができる。
仮想敵チームは、競合他社、取引業者、顧客など計画の障害となる側に雇われているかのごとく行動するよう編成された研究チームである。このチームの役割は、敵となる「悪玉」になりかわってこの企業に最大の影響を与える妨害を計画し、可能性のある障害を明確にすることである。この妨害案を正しく構想することができるよう、仮想敵チームは実の雇い主である「善玉」会社の計画すべてについて完全な情報を与えられる。
仮想敵チームにより計画の妨害方法が決まると、企業側の計画担当者はこれらの妨害を考慮に入れ、当初の計画に適切な修正を行う。次に、仮想敵チームはその修正された計画を対象として、妨害する方法を考え出す。企業側の計画担当者が可能性の高い、あるいは考えられる不測の事態をすべて網羅したと納得するまで、このプロセスは続けられる。
出典